《山陽道トンネル火災》本復旧には相当な日数を要すか 対面通行暫定復旧も大動脈の影響長期化懸念

9月5日01:00過ぎ、兵庫県相生市の山陽自動車道尼子山トンネル内で発生した車両火災は、約19時間後に鎮圧状態となったものの、トンネル内が高温となったことなどから一時的に消火活動が中断されるなどしたため、鎮火確認は40時間強後の6日17:30となりました。

トンネル内ではコンクリート表面の剥離や道路照明等の焼損など甚大な被害が出ていて、NEXCO西日本は、「通行止め解除には相当の時間を要する見込み」として、中国自動車道などへの広域迂回を呼びかけていますが、過去のトンネル火災の復旧状況から、鎮火から現場検証後の復旧作業には相当な日数を要する可能性があります。
数日内に、対向車線トンネルを活用した対面通行での暫定復旧が想定されますが、前後区間での渋滞可能性もあり、近畿=山陽間の大動脈への影響長期化が懸念されます。

■主なトンネル火災での復旧状況
・東名日本坂トンネル(静岡県/全長2045m)
 1979/07/11出火→約65時間後鎮火(6台衝突事故、173台焼損、死者7人負傷者2人)
 07/18対向車線トンネル内対面通行で暫定復旧、60日後の09/09本復旧

・中国道境トンネル(広島県/全長459m)
 1988/07/15出火→約3時間後鎮火(10台衝突、11台焼損、死者5人負傷者5人)
 07/18対向車線トンネル内対面通行で暫定復旧、48日後の09/01本復旧

・山陽道八本松トンネル(広島県/全長844m)
 2016/03/17出火→約2時間半後鎮火(12台衝突事故、5台焼損、死者2人負傷者71人)
 丸1日後通行止め解除


■尼子山トンネル火災状況
・9月5日01:08頃出火→20:08鎮圧、6日17:30鎮火

・トンネル内で大型トラックから出火、運転手にけがなどなし
・避けようとした後続の乗用車やトラックなど10台追突事故、8人病院搬送
・トンネル内に煙が充満、神戸市消防局から出動したブロアー車を14:00過ぎから稼働し排煙作業展開
・車両23台焼損、20:08鎮圧状態となるも、トンネル内が数百度の高温となったため、一時的に消火活動を中断し、6日朝から再開、40時間強後の6日17:30鎮火確認
・天井が一部崩落、コンクリート片が飛散、道路照明等設備焼損など被害甚大

・尼子山トンネル(下り線)は全長592m、全長や交通量から国土交通省が定めるトンネル等級では5段階のうち上から2番目のAで原則設置の消火器/消火栓/給水栓などは設置も、必要に応じて設置のスプリンクラーや排煙設備は非設置
※NEXCO西日本でのスプリンクラー設置は全長3000m以上で対面通行方式などの場合、排煙設備設置は全長1500m以上を原則としている

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