「訓練の範囲明確な指示が無かった」那須雪崩事故の刑事裁判で教諭2人が証言

 那須町で登山講習中だった大田原高校の生徒と教諭合わせて8人が、雪崩に巻き込まれて死亡した事故で、業務上過失致死傷の罪に問われている講習会の責任者だった教諭3人の裁判が5日、宇都宮地方裁判所で開かれ、証人尋問で当時引率していた男性教諭2人が、訓練の範囲について明確な説明がなかったと証言しました。

 業務上過失致死傷の罪に問われているのは、当時の講習会の責任者の猪瀬修一被告(57)と、8人が亡くなった大田原高校の班を引率していた菅又久雄被告(54)、それに後続の班を引率していた渡辺浩典被告(60)の3人の教諭です。

 裁判では雪崩を予見できたかなどが争われています。

 5日の証人尋問では、講習会で3班と4班をそれぞれ引率していた男性教諭の2人が証言台に立ちました。

 2人は、事故の日の朝までに那須地域に雪崩注意報が出ていることをスマートフォンなどで調べて知っていたと述べました。また2人は、事故の当日の朝に引率する教諭たちの打ち合わせがあり渡辺被告が地図を使って指で示しながら「第3ゲレンデ」には雪のつき方が危ないから行かない方がいいと、説明をしていたと証言しました。

 また、打ち合わせのときに菅又被告からラッセル訓練をゲレンデ周辺で行うように説明されたことについて、3班の教諭は「ゲレンデ周辺」がどこまで含まれるかについては具体的な指示がなかったと述べました。4班の教諭は、猪瀬被告に訓練の範囲について尋ねた際、樹林帯を歩くように指示されましたが、樹林帯の範囲については具体的な説明は無く明確ではなかったと証言しました。

 次回の公判は9月15日に開かれます。

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