【MLB】 グレイソン・ロドリゲスが覚醒 オリオールズに待望のエース誕生か

写真:トッププロスペクトからエースへ羽ばたけるかオリオールズ・ロドリゲス

グレイソン・ロドリゲスの勢いが止まらない。前日のエンゼルス戦では6回2失点7三振の好投で5勝目を挙げ、この弱冠23歳の剛腕は期待されたスターダムを登りつつある。

ロドリゲスのシーズン防御率4.91は、エース誕生と騒ぐにはまだ時期尚早な数字にも見える。しかし、ロドリゲスがマイナーからの再昇格を果たした7月17日以降に限ると、9試合で防御率は2.85。同期間のア・リーグで5位の高水準だ。

ロドリゲスはもともと2018年ドラフト1巡目全体11位という高順位でオリオールズに指名されてプロ入りを果たした。高卒の投手の育成には時間もリスクもかかると言われているが、ロドリゲスはその限りではなかった。

2019年、A級で迎えた初のフルシーズンで19歳ながら20先発、防御率2.68、奪三振率12.35という圧倒的なパフォーマンスを見せると、早くも球界はロドリゲスが金の卵であることに気づき始める。

『MLB Pipeline』のプロスペクトTop100では、翌2020年には早くも36位、2021年には27位とトントン拍子で評価を上げていった。そして、昨年2022年には全体6位(投手として1位)に輝くなど、ロドリゲスは順調すぎるほどに大器へと育っていった。

オリオールズが躍進を始めた2022年にロドリゲスもデビューが期待されていたが、臀部の負傷でデビューは見送りに。今年4月5日に飾ったデビューはロドリゲスにとっても球団にとっても満を持してのデビューとなったが、ロドリゲスは5月末に降格するまで防御率7.35と大いに苦しむこととなった。

そこから一回のマイナー降格を挟んで、ロドリゲスはV字回復を見せて覚醒しているわけだが、データを見ても各球種にそこまで大胆な変化が見られるわけではない。

では、何が今の好投を実現しているのかと言えば、その要素は“自信”かもしれない。

ブランドン・ハイド監督は『ベースボール・アメリカ』の取材に「(ロドリゲスは)彼の球種により自信を持つようになった。ストライクゾーンにより果敢に投げ込むこと、よりテンポが良いフォーム、自信。彼には素質があった。それをまとめ合わせることが大切で、彼は(メジャーに)戻ってきてからそれをやってのけている」とロドリゲスの覚醒を分析。

ロドリゲスの覚醒はエース不在に苦しんできたオリオールズにとって最高のタイミングで訪れることになった。

2012年から2016年までで3回のプレーオフ出場を果たしたチームでも、オリオールズは打のチームで、プレーオフを勝ち抜くエースを欠いていた。今年のチームも先発防御率はメジャー15位と数字は平凡だ。しかし、シーズンを追うにつれて、このロドリゲスやカイル・ブラディッシュなど若い投手が次々と成長を見せている。

若きエースの誕生は、オリオールズの世界一の可能性は大いに高めることになりそうだ。

© 株式会社SPOTV JAPAN