静岡・牧之原市での通園バス置き去り死亡事件から1年、再発防止へ向けて必要なこととは何か…、県内での取り組み例と専門家の指摘をお伝えします。
沼津市の原町幼稚園。送迎バス3台すべてに置き去り防止の安全装置が付けられました。バスのエンジンを切って5分ほど経つと…警報が鳴り始めます。バスの一番後ろにあるボタンを押すまで警報はとまりません。
(原町幼稚園 鶴谷主一 園長)
「これで止まりました」
加えて、この園が行っているのが、専用のアプリを使った園児の出欠確認です。
(園の職員)
「朝に保護者からきた欠席の 連絡をまとめたもの。PCに保護者からメールがくるので、誰が来て誰が来ていないかチェ ックする、昔からやっている」
保護者からのメールを元に、園児の出欠名簿を作って職員で共有。園児が登園した後の人数のチェックにも使います。それでも、万が一が起きないよう、車内を確認した後は、他の職員にも一目でわかるように「確認済」のプラカードを一番後ろに掲示しています。園長は、安全装置の設置が進んでも、一番大切なのは職員の意識だと話します。
(原町幼稚園 鶴谷主一 園長)
「それがないと見落としてしまうという場面もなきにしもあらず、万が一の最後のセーフティネットにはなると思う。もちろん意識が一番大事、それにプラスして、装置や置き去り防止の工夫をやってい る」「意識と、プラス行動ですね」
幼稚園などの安全管理に詳しい、常葉大学の木宮敬信教授は『装置に頼るだけでなく人の力で安全確保することが重要』だと話します。そのために必要だというのが『安全管理の組織化』と『外部人材の活用』です。
(常葉大学教育学部 木宮敬信 教授)
「安全管理体制の組織化というもの。人によって行動や考え方が違うことが一番の事故の原因になる。組織としてきちんと約束を定めて、全員が同じ考え方でできるように、園長を中心にそのような体制づくりをすることが大前提」
「特に私立の幼稚園では、ほかの園の状況を知る機会が少ない、転勤もない、マンネリ化してしまうし、マイルールや独自のやり方が長く続くことも多くある。ほかの園の職員との交流や相互研修、外部から定期的に関係者を呼びチェックしてもらうなど、積極的にほかの人材を入れる仕組みづくりが重要」
悲劇を繰り返さないために、安全への意識を高く持ち続けることが求められています。