1300年続く伝統の獅子舞 後継者不足と高齢化で歴史に幕 最後の舞で観客を魅了

1300年続く伝統の獅子舞が、9月5日で最後になりました。

岐阜県飛騨市の「数河獅子(すごうじし)」。

過疎や高齢化の波に襲われ、もう来年はやらないと苦渋の決断。

観客を魅了した、“最後の舞”です。

飛騨市古川町、祭りの会場は例年以上に賑わいました。

(観客)
「ことしで最後だと聞いてさみしい」
「できれば続けてほしい」
「目と心に焼き付けて見させてもらおうかと」

100人以上の観客を魅了していたのは、この地区に代々受け継がれてきた「数河獅子」の舞です。

1300年の歴史を誇る数河獅子は、アクロバティックな技が特徴の県の重要無形民俗文化財。

「若社(わかしゃ)」と呼ばれる獅子舞を奉納する団体が、本番の2か月前から連日連夜の稽古を重ねてきました。

しかし、そのメンバーが足りません。

約20年前は30人程いたのに、今はたったの9人…。

また、以前は30代の半ばで引退していましたが、今ではメンバーのほとんどが40代で高齢化が進んでいます。

(若社リーダー 森下博史さん45歳)
「今、後輩がいない。見込みもないので、ことしで最後と決めた」

数河獅子にはアクロバティックな大技が数多くありますが、中でも難易度の高い、「前車(まえぐるま)」という技をしっかり決めなくてはなりません。

(若社メンバー)
「(前車は)獅子として成立するかしないかの大きなポイント」

2人1組の獅子舞が大回転するのが「前車」、中年のメンバーで、これをかっこよく決められるのでしょうか。

本番前夜、これまで特訓を重ねてきましたが…失敗。

腕にはあざも…、本番への不安が募ります。

「(Q:完成度は?)6割…」

「(Q:前日ですが?)合わせます」

そして、本番当日。

「4年ぶり良い獅子振りましょう!」

1300年続いてきた数河獅子、最後の舞です。

出だしは好調、そして課題の「前車」は果たして…?

見事に成功!アクロバティックな演舞で会場を沸かせました。

(観客)
「すごいよね、本当に。1300年ずっと守ってきたんだもんね」
「まだ信じられない。絶対復活すると信じている」
「大人になったら数河獅子やりたい」
「これをまた続けていきたい」

惜しまれながら、いったん幕を閉じた数河獅子。

若い担い手が増えて、再びこの祭りの賑わいが戻ることを願っています。

© CBCテレビ