シートベルトせずバス運転、パワハラ… 尼崎市の外郭団体、21~23年度に懲戒処分11件

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 回送運行中に携帯電話で通話しながらバスを運転したなどとして、兵庫県尼崎市の外郭団体「尼崎交通事業振興」が運輸課の社員を停職30日の懲戒処分にしていたことが6日までに、神戸新聞社の情報公開請求で分かった。また、複数の社員に人格否定などの言動をした総務課社員を停職20日にするなど、2021~23年度に11件の懲戒処分を行っていた。

 停職30日となった運輸課の社員は22年5月、阪神尼崎駅北ロータリーで時間調整中に運転席で携帯電話を操作。ドライブレコーダーを調べたところ、直近3カ月の間、後方の座席でタブレット端末を使用し、始業や終業の点検を怠っていたことや、営業運転中にシートベルトを着用していなかったことも判明した。

 また、運行中に自転車と接触事故を起こしたにもかかわらず警察や営業所に報告しなかった運輸課社員を停職7日、乗客を乗せ、マイクを入れたまま別の車の運転手に挑発的な言動を行ったり、この件で指導を受けた翌日にサイドブレーキのかけ忘れによる物損事故を起こしたりした運輸担当の社員を停職3日の懲戒処分にした。

 停職20日の懲戒処分を受けた社員は社員5人に対し侮辱や人格を否定する言動を行い、うち1人には同様の言動を繰り返し、別の1人が昇格試験の面接を受けた際には、試験官の立場を乱用し、面接の目的から逸脱した質問を繰り返し不安に陥れたとされる。運輸課の社員も、5人の社員に対し、正当な理由なく退職を強要するなどのハラスメントをしたとして停職5日の処分を受けた。

 同社は取材に対し「個別の案件についてはお答えできない」などとして処分された社員の性別や年齢を明らかにしていない。

 尼崎交通事業振興は1988年に開業。現在は、2016年に尼崎市営バスから阪神バスに事業譲渡された「尼崎市内線」の一部を受託運行している。 (中川 恵)

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