欠場

 「僕はユニホームを着ると、身体が自然に喜ぶように感じる」-。野球の米大リーグで2632試合連続出場の大記録を打ち立てたカル・リプケン・ジュニアがこんな言葉を残している。ひょっとしたら大谷翔平選手もよく似た感覚の持ち主なのかもしれない▲彼らは、子どもの頃から大好きだったスポーツがそのまま仕事になったとても幸せな人たちだが、大谷選手にとって野球が単なる“職業”でないことは明白だ。そうでなければ、どちらか片方だけでも超一流なのに、困難な二刀流を貫いていることの説明はつかない▲8月の後半に腕の故障が見つかり、登板できなくなってからも、打者としては元気な姿を見せ続けてきたが、右脇腹の痛みで2試合続けて欠場した。3年ぶりの出来事という▲投げても打っても走っても。どんなプレーも絵になるねえ…と目を細めながら、誰もが心のどこかで、体は大丈夫か、と彼を心配していた。大事でなければいいが▲エンゼルスの監督が〈途中出場したい意向を試合中に伝えられたが、無理をさせなかった〉と明かしている。きょうのゲームはどうだろう▲相手チームの監督も「野球界にとって最悪」と不在を惜しんでいた。ただし、このコメントには「対戦中に打席に入るのは見たくないけど」と続きがあったが。(智)

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