マスカットサイダー製造終了 陸前高田の名物、24年3月まで

道の駅高田松原でも絶大な人気を誇るマスカットサイダーを陳列するスタッフ

 陸前高田市米崎町の神田葡萄(ぶどう)園(熊谷晃弘社長)は、看板商品の一つ「マスカットサイダー」の製造を来年3月いっぱいで終了する。「地サイダーブーム」の前から地域に溶け込み、全国にファンが多いが、原料高騰や瓶の慢性的な不足から苦渋の決断に至った。熊谷社長(39)は「ぶどう酒製造から創業した原点に戻り、今後も喜ばれる商品作りに励みたい」と語る。

 新型コロナウイルス禍などによる全国各地の瓶工場閉鎖や、ロシアのウクライナ侵攻による資材高騰が影響。生産開始時から使用し、東日本大震災の津波被害からも復活した製造ラインや機械類の老朽化も決断につながった。

 同社は1905(明治38)年創業し、ぶどう酒作りを開始。70年にマスカットサイダーを商品化した。震災で生産工場も被災したが、4カ月後には稼働にこぎ着け、近年は年間15万本ほど製造してきた。一方で、外的要因で「需要に応えられず、迷惑をかけることが多くなった」(熊谷社長)。

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