台風6号の影響いまも…通行止め1カ月 沖縄・宮城島 迂回で渋滞、観光にも影響

 【うるま】うるま市与那城の宮城島で、台風6号による土砂崩れの影響で道路の通行止めが1カ月も続いている。住民は整備が十分でない迂回(うかい)路の通行を余儀なくされ、渋滞も発生している。大型バスの通行も困難で、観光産業などへの影響も大きい。市は応急工事を予定しているが、二次災害の懸念があり着工に至っていない現状だ。宮城島、伊計島の関係者ら17人が6日、中村正人うるま市長を訪ね、早期の着工を求める要請書を手渡した。

 通行止めが続くのは、市が管理する一般農道宮城線の桃原と上原の境界付近。幅60メートル、長さ200メートルほどの土砂が崩れ、大量の土砂が道路上に残る。海中道路から伊計島までをつなぐ道路で、宮城島、伊計島の住民や観光客が多く利用する。小中学生が平安座島の学校へ通う通学路でもある。

 迂回路は幅が狭く、山道のためカーブも多い。宮城自治会の名護徹会長によると「安全ではない」道路だ。宮城こども広場の豊永栄子室長は「子どもや保護者の安全確保に不安がある」と話した。宮城島では複数箇所で土砂崩れが発生した。名護会長は「次の台風で迂回路も封鎖されたら孤立してしまう」と心配する。

 夏休み期間の通行止めや大型車両の通行が困難な状況は、観光や漁業などの産業に大きな影響を与えた。ぬちまーす観光製塩ファクトリーを運営する高安正勝社長は「例年だと1日5台ほどの観光大型バスが来ていた」と、影響を嘆く。大型トラックも通れず漁業や採石業関係者からも懸念の声が上がった。

 うるま市農林水産整備課は復旧を急ぐため通常の手続きを省略する「応急本工事」に着手する予定。土砂が膨大で二次災害が発生する可能性もあり、慎重な測量・土質調査が必要となる。そのため復旧に時間を要していると説明した。

 (金盛文香)

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