“ヒプステ”など2.5次元舞台で活躍中の加藤大悟、ファースト写真集は「23歳までの人生を詰め込んだような作品に」

数々の舞台に出演し、9月29日にはファースト写真集「だいじぇすと、」も発売する加藤大悟さん。

舞台作品の醍醐味(だいごみ)や、9月3日の大阪公演を皮切りに始まった「『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rule the Stage -Battle of Pride 2023-」への思いについても語っていただきました。

――写真集のタイトルに込められた思いをお聞かせください。

「『だいじぇすと、』というタイトルの通り、23歳までの人生をぎゅっと詰め込んだような写真集になっています。コンセプトは一人旅行。朝ベッドで起きるありのままの自分を切り取ったシーンから、バーで撮影した大人っぽいスタイルまで、皆さんが今まで見たことないような表情もお見せできているのではないかなと。最後につけている『、』は、これからも続いていく活動のことも考えて、区切りでもあり序章でもあるという意味を込めています」

――撮影を振り返って大変だったことや、楽しかったことを教えてください。

「一番大変だったのは移動かな。北海道のさまざまな場所で撮影を行ったのですが、広大な土地なのでどこに行くにも遠くて、バスの中で2時間半過ごすなんてこともありました。楽しかったことは食事です。撮影で北海道の海鮮丼をいただいたのですが、特にイクラとウニが驚くほどおいしくて、その時の素のリアクションは写真集には全く使えない顔をしていたと思います。人間って本当においしいものを食べた時って思考や感情が止まるんです(笑)」

――お気に入りのページはありますか?

「普段はしない大人な格好をして、バーやビリヤードで撮影したページです。いい意味で“背伸びした加藤大悟”を皆さんにお届けできたらいいなと思っていたのですが、狙い通りのページができたのではないかなと思っています」

――この数年でさまざまなことをご経験されたかと思います。振り返ってみていかがですか?

「22歳は、大学生であれば卒業したり大学院に行ったりと、多くの人にとって新しいことに挑戦し始める区切りの年だと思っています。僕も18歳から22歳までいろいろなことを経験させていただいて、自分の中で大人になったなと感じた部分がたくさんあります。10代の頃はスポーツアトラクション施設で体を動かすようなわんぱくなタイプだったのですが、最近では自然が好きになってきて、趣味も落ち着いてきました」

――どんな趣味になったのでしょうか?

「最近は釣りにハマっています。釣りをしていると、広大な海や自然豊かな森に囲まれることができて癒やされるんです。ハマり始めたのは20歳ぐらいからだったのですが、どんどん大自然の魅力や神秘的な場所に魅了されるようになって、大人になったなとしみじみ感じるようになりました」

――では、今後新しく挑戦したいことを教えてください。

「自分の成長を感じる1年を過ごすことができたので、23歳はもっと繊細に自分を分析できるようになりたいと思っています。もちろん、いろいろな仕事にも挑戦して新しい自分も開拓していきたいのですが、今考えると、これまで自分と向き合う時間があまりなかったので、もう少し自分を理解してあげたいなと。僕は自分に自信がないタイプなので、自分を褒めたりいたわったりするために時間やお金を使えたらなと思っています」

――今はそういった時間はどう過ごされていますか?

「実は僕、1人でいるのが苦手で、暇な時はマネジャーさんを誘ってご飯に行ったり、家で寂しい時は友達を呼んでお酒を飲んだりご飯を食べたりと、つい誰かと一緒の時間を過ごしてしまいます。だからこそ1人の時間を作るのはすごく難しいことなのですが、少しずつでも1人でいる時間を増やすように意識しています。やっぱりすごく寂しいですけどね(笑)。今後はそういった1人の時間で苦手な読書にも挑戦してみたり、内省的な過ごし方にも挑戦してみたりしようかなと思っています」

“舞台は生物”「同じ時間を共有できることが舞台の良さなのではないかなと」

――ヒプステ「-Battle of Pride 2023-」に出演するにあたり、楽しみにしていることはありますか?

「僕は初舞台がヒプステだったので、個人的にも思い入れが強い2.5次元の作品。出し惜しみなく、自分のできるものすべてをぶつけたいと思っています。今回で卒業なので寂しい気持ちはありますが、公演ではそんな気持ちも全部取っ払って、すてきな舞台を皆さまにお届けできたらなと思っています」

――本作は加藤さんにとってどんな舞台になりましたか?

「まさに人生において僕の分岐点になっています。『マチネ』や『ソワレ』などの舞台用語やお芝居についても全く分からない状態から、何もかもを教えていただいた作品です。本作がなかったら何も始まらなかったと言えるくらい、僕のすべてが詰まった大切な宝物です」

――本作での印象的な出会いはありますか?

「最初にナゴヤ・ディビジョンとして共演させていただいた廣野凌大さんと青柳塁斗さんには、本当にすべて教えていただきました。またお会いできたら成長した姿を見せられるようにと、ほかの作品でのモチベーションにもなっていました。お二人の存在は僕の一生に残ると確信していますし、プライベートでも仲良くしてくださっているお兄ちゃんみたいな方々です」

――加藤さんが思う舞台作品の醍醐味を教えてください。

「“舞台は生物”なので、そこは役者としても一番の醍醐味です。ドラマや映画などの映像作品と違うのは、1回の本番で何があるか分からないこと。毎回その日のお芝居を作り上げていくので、前日とは全く違う演じ方になることもあります。そういったお芝居をお客さんにも生で体感していただいて、同じ時間を共有できることが舞台の良さなのではないかなと」

――エンターテインメントをリアルに体験できるということですね。

「はい。それこそ僕はコロナ禍に入って、お客さんに実際に観劇していただくことができなくなった頃に舞台を始めたので、お客さんに会えることやライブイベントの尊さを身に染みて感じています。今では少しずつ規制緩和されてきて、舞台でお客さんの反応を感じることができるのは本当にうれしいです。元々アイドルとして活動していたこともあり、お客さんとコミュニケーションを取って心と心でぶつかり合えることが多かったんです。そういった時間ってとても心に残るものなので、これからも大切にしていきたいなと思っています」

――2.5次元の役柄を演じるにあたり、現実世界とのギャップに切り替えが難しいと感じることはありますか?

「そこのギャップはヘアメークにとても助けられています! カラコンやアイメークもするし、ウィッグもかぶるので、普段の自分と全く違う人が出来上がって、鏡を見た時はもはや自分ではないんです。その姿を見た瞬間にスッと切り替えができます。もちろん元々の役作りもしっかり行っていますが、5割ぐらいは見た目にスイッチを入れてもらっている不思議な感覚です」

【プロフィール】

加藤大悟(かとう だいご)
2000年9月19日生まれ、愛知県出身。18年、愛知・岐阜・三重・静岡の東海エリア4県の中学生・高校生によるご当地イケメンボーイズを発掘する「TOKAIスクールボーイズ」オーディションにて合格し、芸能界入りを果たす。19年4月にボーイズグループ「Hi☆Five」としてメジャーデビュー。20年には「『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rule the Stage -track.3-」において、四十物 十四役で俳優活動を開始。以降、舞台『魔法使いの約束』シリーズのヒースクリフ役、ミュージカル『刀剣乱舞』シリーズの山姥切国広役など、舞台を中心に活躍中。23年5月には、主演映画「タクミくんシリーズ」が公開されたほか、ソロアーティストとして1st配信シングル「0%」をリリースした。

取材・文/松村有咲 撮影/蓮尾美智子

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