情報提供と制度の周知を

トラック荷主対策特別室(通称トラックGメン)が始動した。国土交通省が80 人を緊急増員し合計162人体制で臨む。2024年問題に直面するなか、荷主等に起因する長時間の荷待ちや、運賃・料金の不当な据え置きが十分に解消されていない。荷主対策への行政の本気度が伺える。
 トラックドライバーは他産業と比較して労働時間が長く、低賃金という担い手不足の課題を抱え、荷主企業や元請事業者の理解と協力により、荷待ち時間の削減や適正な運賃収受など労働条件の改善が急務である。
 「トラックGメン」は6月に政府が策定した政策パッケージを受けたものだが、時限措置が延長された貨物運送事業者法の「荷主対策深度化」による荷主企業・元請事業者への「働きかけ」、「要請」と連動するもので、さらに踏み込んでいく。
 国交省によると、これまでの働きかけ累計84件の内訳は「長時間の荷待ち」が43・2%と半数近くを占める。次いで「依頼になかった附帯業務」、「運賃・料金の不当な据置き」、「過積載運行の要求」が各12・2%。ほか「拘束時間超過」10・1%、「無理な配送依頼」7・9%などなっている。
 働きかけ、さらに要請においても改善されない場合の「勧告・公表」に至った事案はない。こうした措置で荷主等の是正事例もみられ、施策の有用性から「標準的な運賃」も含め時限措置が延長されたのだが、さらに荷主対策を深掘りする。
 これを後盾にトラック運送事業者は情報提供を積極的に行うことが肝要であり、荷主や元請にも措置の周知徹底が不可欠である。
 国交省の鶴田浩久自動車局長は先の全日本トラック協会の理事会でトラックGメンについて「情報をいただいた方に迷惑がかからないことを大前提に、荷主に要請、必要に応じて勧告・公表を行う」と説明し、全ト協の坂本克己会長は「情報を提供してもらうことが大事であり、行政と歩調を合わせて調査を進めていく」としている。何より情報提供がなければ進まない。
 荷主等情報提供に関してはこれまでも国交省の意見募集窓口に、厚生労働省の荷主対策特別チームや、トラック運転者の長時間労働改善特別相談センター、価格交渉・転嫁の関係では公正取引委員会や中小企業庁が相談窓口を設けている。 
 トラックGメンにおいても省庁連携を密にすることで対策の実効性を確保していく考えであり行政の強い後押しをしっかり認識したい。

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