知らないと損する“台風大雨で旅行台無し”を防ぐ方法 50万円以上逃す人と取り戻せる人…明暗分かれるキャンセル保険

「9月の連休に、銀婚式の記念として、夫婦で沖縄の離島への旅行を予定していますが、台風が心配です」(A子さん、50代)

8月のノロノロ台風11号も被害が大きかったが、本格的な台風シーズンが到来した。発生したばかりの台風13号は、関東直撃の可能性があると予想されている。

近年、台風をはじめ、大雨、ゲリラ豪雨、洪水、線状降水帯と、自然の災害が多発し、生活インフラの被害も増えている。

そして、その都度、新幹線や飛行機、鉄道が運休になることも多い。秋の行楽を楽しみにしていても、予定の変更も余儀なくされる。

そもそも旅費は高額であるのに加え、キャンセル料の費用負担も気になるところだ。

FPの加藤梨里さんは、「旅行のキャンセル料負担に備える方法のひとつに、旅行キャンセル保険があります」という。

「台風などの悪天候により、飛行機が運休したときには、航空会社から航空代金が返金されたり、別の便に変更できたりするケースもあります。けれど、個人がやむを得ない事情でキャンセルしたときには、当然基本的にはキャンセル料がかかります。そこで活用できるのが旅行キャンセル保険。事前に加入しておけば、かかったキャンセル料についての補償を受けられます」

旅行キャンセル保険とは、出発前に、ツアーや航空券、ホテルなどをキャンセルして、キャンセル料や違約金が発生したときに、その費用が補償される保険のことで、一例としては次のような理由が保険の対象となる。

・台風や豪雨などの悪天候で、飛行機や新幹線が欠航や運休をした、所定時間以上の大幅な遅延があったなど、交通機関の乱れによるキャンセル。
・死亡、病気やケガによる入院・通院。旅行に行く予定の本人や同行者、親族がインフルエンザやコロナにかかり、入院、通院が必要で旅行にいけなくなったとき。
・ペットの死、自宅の被災、イベントが中止になったとき。
・急な出張、学校行事、裁判所への出廷、パスポートの盗難、紛失、失効など。

旅行者の都合により旅行をキャンセルしたときにも、キャンセル保険は、補償対象になるものがあるのだ。

「保険の種類により、国内用または海外用などがあり、補償される範囲も、宿泊料、ツアー代、航空券代、レンタカー代など、旅行のセットや予約の内容によって違います。

支払われる保険金も、保険のプランやキャンセル理由などによって、自己負担したキャンセル料の100%が保険適用されるものもあれば、費用の一部が支払われるものもあります」

旅行キャンセル保険に申し込むには、原則、出発の7日前、9日前までなどと、加入できる期日は決まっている。

旅行の「キャンセル料100%補償」というのは、損保ジャパンの子会社「MYSURANCE」のTravelキャンセル保険。これは、旅行予約から14日以内、かつ出発まで9日以上の旅行を対象に申し込める保険で、保険料は、旅行代金(予約代金)で算出する。

例えば、旅行の宿泊代金が3万円だった場合の保険料は760円。20万円の場合の保険料は5060円だ。

地方のイベントに行くための旅行の場合、台風などにより、イベントが中止になったときも、保険金額を上限に100%の補償がある。

ホテルのキャンセル料が5万円の場合には、保険金としてこの5万円が支払われる。

もう一つ、ジェイアイ傷害火災保険株式会社の「t@biho.キャンセル」では、

海外旅行出発日4日前まで契約可能で、旅行代金と保険料は、それぞれ、5万円→600円、10万円→1200円。20万円→2400円、30万円→3600円、40万円→4800円となっている。

冒頭のA子さんは、結婚25年目の記念にと、沖縄の離島の高級ヴィラに夫婦で3泊する予定だった。旅費も奮発をして、飛行機の航空券代は、夫婦2人で20万円、ホテル代は、海が見える部屋を予約し、3泊で54万円。

しかし、運悪く台風が直撃し、前日になり飛行機が運休に。

航空券は、台風による欠航便となるので、航空券代は返還される。

宿泊代のヴィラも、仕方なくキャンセルしたが、宿泊の前日だと100%のキャンセル料が必要で、54万円は戻ってこない。

もし、このとき、旅行キャンセル保険に加入していたとしよう。

「MYSURANCE」のTravelキャンセル保険に加入した場合、54万円のホテル代に対し保険
料は、13660円。

保険金を受け取れれば、キャンセル料の実質の負担は54万円-13660円=52万6340円で済む。

旅行キャンセル保険に入っているのと入っていないので、これほどの差になるのだ。

「これから本格的な台風シーズンが到来します。交通機関の運休、欠航、大幅な遅延も起こりやすい時期だと思います。楽しみにしていた旅行に行けなくなるだけでなく、高額なキャンセル料がかかり、大変残念な思いをすることもあるかもしれません。

旅行代金が高額で、直前にキャンセルすると、そのそのキャンセル料だけで、数万円~数十万円になってしまうことも考えられます。掛け捨ての保険なので、無事に旅行ができたときには、保険料は戻ってきませんが、心配なときにはこうした高額な負担に備える手段として、旅行キャンセル保険を活用してみてはどうでしょう」

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