温室効果ガス46%削減へ 和歌山県、30年度目標を引き上げ

和歌山県の温室効果ガス削減率

 和歌山県は、2030年度の温室効果ガス排出量を、13年度比で46%削減する目標を新たに設定した。従来の目標は30%削減だったが、20年度時点で31%削減を実現したため引き上げた。県環境生活総務課は「高い目標だが、クリアしたい」と取り組みを呼びかけている。

 県が21年3月に策定した「県環境基本計画」では、50年度までに温室効果ガス排出量実質ゼロを目指している。今後人口減少により排出量は減少するものの、推計では何の対策もしなければ30年度時点で、13年度比17.1%の削減にとどまる。

 温室効果ガス排出量は13年度に約1930万トンあったのが、20年度は1332万トンまで減少した。排出量全体に占める割合が高い産業部門の減少が大きく、家庭部門も半減した。

 ただ、産業部門の削減は和歌山市の製鉄所の高炉休止が大部分を占めるのが実態。他の産業ではほとんど削減が進んでおらず、県は「省エネ性能の高い設備、機器をさらに導入してもらいたい」と期待する。

 家庭部門の削減も13年度は使用電力に占める石炭火力発電の割合が高かったのが、原子力発電が稼働し、再生可能エネルギーも増加したことが主な要因だった。さらなる削減のため、県は環境教育に力を入れ、家庭での省エネ活動を促す方針だ。

 その他、電気自動車(EV)の普及や公共交通機関の利用、建築物の省エネ化を進める必要があるとしている。県でも県有施設への太陽光発電設置を広めるため調査中で、公用車の購入も本年度から一部の特殊な車両を除き、EVやハイブリッド車など次世代自動車に限定している。

 温室効果ガスの削減には、森林の吸収量も鍵となる。従来の30年度目標値は6.4万トンで、20年度は6.2万トンだった。新たな目標では7.4万トンに引き上げた。森林環境の保全や木材利用の拡大に取り組む。

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