ストイコヴィッチ監督が自信を見せる「首位決戦の前日」 喜熨斗勝史コーチ率いる練習を現地で撮影した

2022-23シーズンのUEFAネーションズリーグの2部にあたるBのグループ4でノルウェー、スウェーデン、スロベニアを相手に勝利を収め、トップカテゴリーへの昇格を成し遂げたセルビア代表。

現在EURO2024の予選で2勝1分けと好調を維持しているが、7日(日本時間8日早朝)にはグループの中で最も重要なハンガリーとのホームゲームを迎える。この両チームはともに勝ち点7でまだ無敗。予選グループで首位を争う上ではセルビアにとって「必ず勝たなければならない相手」となっている。

そしてこの試合を現地で取材しているのが、バルカン地域の研究者でもある石川美紀子さん。セルビアやモンテネグロのサッカーを数多く取材しており、カメラマンとしても活躍している女性である。

今回はその7日に行われるハンガリー戦の前日練習、そしてドラガン・ストイコヴィッチ監督とキャプテンのドゥシャン・タディッチが出席した記者会見の模様を、貴重な現地の写真とともにレポート。

ハンガリー戦前日、セルビア代表選手が集結

ハンガリー戦を翌日に控えた9月6日(水)、澄んだ青空から太陽の光が燦々と降りそそぐグラウンドに選手たちが集まってくる。

ステファン・ミトロヴィッチとストラヒニャ・エラコヴィッチ
セルゲイ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチ
笑顔を見せるドゥシャン・ヴラホヴィッチ。隣はフィリップ・コスティッチ
ストイコヴィッチ監督。サングラスもお似合いです
気持ちの良い秋の朝、円陣が組まれる

朝10時半、ストイコヴィッチ監督を中心に円陣が組まれて練習がスタートした。

喜熨斗勝史コーチが率いるセルビア代表のトレーニング

まずは、喜熨斗勝史コーチのリードでアップ開始。ボール回しではあちこちで笑い声が上がっていた。

喜熨斗勝史コーチが仕切るトレーニング
ゴールキーパー陣の準備も万端
スルジャン・バビッチ
ラザル・サマルジッチ
ミトロヴィッチは今回の招集メンバー最年少21歳、唯一の国内組(レッドスター)である

トレーニングの公開は最初の15分のみ。前回取材した集合初日のトレーニングは、報道陣への時間制限もゆるゆるとした雰囲気で、ストイコヴィッチ監督を思う存分撮影できた。

しかし、今回は試合前日で、対戦相手ハンガリーからも多くのメディアが訪れて最先鋭の機材で撮影している。選手たちの笑い声が響くピッチ内とは裏腹に、セルビア代表側の広報の顔には緊張感が滲んでいた。明日はいよいよ大一番である。

「選手の健康と笑顔」にストイコヴィッチ監督も自信

午後からの前日会見に臨んだドラガン・ストイコヴィッチ監督は、わずか3日間の準備期間であったものの、その内容に手応えを感じていることを明かした。

対戦相手ハンガリーからも多数の報道陣が訪れ、会見は大盛況だった

ドラガン・ストイコヴィッチ

「この3日間の準備に私は満足している。選手たちは大きなモチベーションを持って臨んでくれた。全ての選手の健康状態が良好で、笑顔があふれていることは、私の喜びだ。

対戦相手ハンガリーについては、彼らのクオリティとここ数年の大きな進歩を大いに尊敬しているが、その一方で、我々も自分たちのクオリティとフィールドでのポテンシャルを信じている。素晴らしい試合になることを期待している」

和やかな雰囲気の会見となった
今年11月で35歳になるドゥシャン・タディッチ

キャプテンのタディッチはこれまで代表キャップ98試合。10日(日)のリトアニア戦では100試合達成が予想される。ただ、その記録に対してはそれほど執着していないようだ。

ドゥシャン・タディッチ

「私にとっては、試合数よりも結果として何を残したかの方が重要です。試合にももちろん常に勝ちたいとは思っていますが、それが可能な場合もあれば不可能な場合もある。

あくまでも私たちの目標はEURO本大会への出場であり、その結果を達成するために全力を尽くします」

今回のホームでのハンガリー戦は、3月に行われたモンテネグロ戦でのサポーター同士のトラブルによりUEFAから制裁を受けており、無観客試合となっている。その代わりにスタンドには14歳以下の子どもたちのみが招待されることになった。

ホームでの大声援による後押しが受けられないことは、セルビア代表にとって痛手ではあるが、子どもたちの可愛らしい声援は、必ずや選手たちにとって大きな力になることだろう。

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セルビア代表にとって非常に重要なハンガリー戦は、日本時間9月8日の午前3時45分にキックオフ。試合はDAZNで配信される予定となっている。

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