学校への食事提供停止 提供業者は給与未払いも 背景に業界の苦しい内情

学校の寮や食堂などへの食事の提供を停止した運営会社の「ホーユー」で、従業員への給与の支払いが滞っています。一方、原材料費の高騰などによる給食業界の苦しい内情が見えてきました。

■ホーユーのパート従業員

「ただ驚きです。なんでこうなったんだろう。(会社と)全く連絡がつかないのでどうしたらいいんだろう」

戸惑いを語るのは、学校食堂などを運営する「ホーユー」のパート従業員として、県北で勤務していた女性です。

「ホーユー」が運営していた全国の学校の寮や食堂などで、9月1日、突然食事の提供が停止。女性のもとには、給料が支払われないとの内容の知らせが届いたといいます。

■ホーユーのパート従業員

「月末にATMに行った人は給料が入っていなくて困惑していた。ホーユーで働くときに外部の業者から『以前も未払いがあった気を付けたほうがいい』と聞いていた」

取材に応じた「ホーユー」の山浦芳樹社長は、従業員への給与が未払いになっていることを認め、「労働基準監督署などに相談している」としました。そして、食事を提供している全国約150の施設のうち、半数で提供が止まっている現状を明らかにしました。

NNNの調べでは、9月7日までに少なくとも21道府県の学校などで、食事の提供に影響が出ていることが分かっています。

給食経営の専門家は「物価の高騰が背景にある」と指摘します。

■日本給食経営管理学会(龍谷大学農学部教授)朝見祐也 広報部長

「食材料費・人件費・光熱水費も高くなっているので、病院や高齢者福祉などあらゆる給食という業界が苦しんでいる。年度初めに契約したら、年度途中に契約を簡単には変えられない」

「ホーユー」は、5年ほど前から発注元と値上げ交渉してきたものの「対応してもらえないケースがあった」としています。

■日本給食経営管理学会(龍谷大学農学部教授)朝見祐也 広報部長

「途中で高騰分を補填できる契約のあり方も業界に求められている」

県教委は「一般的に学校が入札するため、教育委員会が運営会社の経営状態を把握することはない」としています。一方、7月に「ホーユー」に対して、給食費の負担を減らす補助金の申請を打診したところ、「現在の単価で工夫しながら提供を継続する」との回答があったということです。

県内で食事の提供が止まっている公立高校7校のうち県立高校の6校は、「ホーユー」との契約を解除しました。

【2023年9月7日放送】

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