ラグビーW杯がいよいよ開幕! 日本代表の注目選手を紹介

桜のジャージをまとった選手たちの熱闘に列島が沸いた日本大会から4年、あの興奮が帰ってくる。「ラグビーワールドカップ2023」はフランスを舞台に開催され、現地時間・9月8日(日本時間・9日深夜)に開幕。10月28日にパリのスタッド・ド・フランスで行われる決勝まで、各地で熱戦が展開される。前回大会で初のベスト8に進んだ日本代表チームは、10日に初戦に臨む。ここでは、前回を上回る成績を目標に掲げるチームの注目選手を紹介する。

◆姫野和樹

1994年7月27日生まれ。身長187cm/体重108kg。ポジションはフランカー(FL)/ナンバーエイト(No.8)。トヨタヴェルブリッツ(リーグワン/日本)所属。

今大会のキャプテン。W杯は2大会連続出場。前回大会では倒れた相手が保持しようとするボールを奪い取る「ジャッカル」というプレーを日本中に浸透させ、チームの勝利に貢献した。

高校時代にU20セブンズ日本代表に選ばれ、ラグビー強豪校の帝京大に進学。2017年に大学を卒業してトップリーグ(当時)のトヨタヴェルブリッツ入りすると、いきなりキャプテンに指名され、期待通りの活躍で新人賞を獲得した。そのシーズンの秋に日本代表にも初選出。そして、W杯日本大会では全5試合に先発出場し、広く名を知られるように。21年にはニュージーランドに渡り、ハイランダーズ(スーパーラグビー・パシフィック)でプレー。ラグビー王国の精鋭たちの中で戦い抜き、新人賞に輝いた。高いレベルで経験を積むことで成長し、スケールを増している。

キャプテンとして臨む今大会は、大きな責任とプレッシャーを背負うことになるが、「(過去2大会連続でキャプテンを務めた)リーチマイケルさんの背中を追ってきたけど、これからは超えていかないといけない。歴代最高のキャプテンと言われるよう頑張りたい」とポジティブに意気込む。代名詞のジャッカルやタックルといったプレー面と、チームをまとめ、引っ張るリーダシップで日本を勝利に導く。

◆李承信

2001年1月13日生まれ。身長176cm/体重85kg。ポジションはスタンドオフ(SO)。コベルコ神戸スティーラーズ(リーグワン/日本)所属。

兵庫県神戸市出身の在日韓国人で、大阪朝鮮高級学校2年時から高校日本代表に選出。卒業後は帝京大に進学したが、ニュージーランド留学を決意して2年時に退学。ところが、コロナ禍のため計画が白紙に。仕方なく地元・神戸で1人で練習する日々を送っていたところ、コベルコ神戸スティーラーズから声がかかり、20年9月に実力を認められて正式契約を勝ち取った。

チームでSOのレギュラーポジションをつかんで実力を伸ばし、昨年6月にウルグアイ戦で日本代表にデビュー。ラグビーでは、その国の国籍を持っていなくても一定の条件を満たせば代表資格を得られるため、さまざまなバックボーンを持つ選手が日本代表でプレーしてきたが、朝鮮学校出身者が日本代表に選ばれたのは初めてだった。

SOはチームの司令塔となるポジション。李選手も鋭いラン、巧みなボールハンドリングからのパスで攻撃の起点になる。サッカーの経験に裏打ちされた正確なキックも持ち味で、プレースキッカーも任される。しかし、W杯前最後のテストマッチとなったイタリア戦では、近距離のゴールキック、ペナルティゴールを続けて失敗してしまった。キックの成否は勝敗に大きく響く。W杯本番までに精度、距離感を修正し、日本の攻撃に勢いを与えてほしい。

◆長田智希

1999年11月25日生まれ。身長179cm/体重90kg。ポジションはセンター(CTB)。埼玉パナソニックワイルドナイツ(リーグワン/日本)所属。

大阪・東海大仰星高時代は、キャプテンとして全国高校大会で優勝。早稲田大学へ進学してからは、1年時はウイング(WTB)のポジションでプレーし、2年時はCTBとして全国大学選手権優勝に貢献。4年時はキャプテンを務めた。卒業後、埼玉パナソニックワイルドナイツに入団すると1年目から活躍し、2022-23シーズンのリーグワン新人賞とベストフィフティーンを獲得。シーズン中に日本代表デビューを飾り、W杯代表の座も射止めた。

タッチライン際でボールを持ち、快足を飛ばしてトライを狙うWTB。WTBのアシストをしつつ突進して相手ディフェンスラインを崩し、パスとキックで攻撃の組み立て役を担うこともあるCTB。そのどちらもこなすプレーの幅広さが長田選手の持ち味だ。

また、自らを「体の強さやスピードで相手を圧倒できるタイプではない」と評し、サイズも179cm、90kgと決して大きくはない。しかし、攻撃では相手ディフェンスとのズレを作ってそこを突く動き、守備では危険なスペースを察知して素早く埋める動きで大型選手と渡り合う。攻守両面にわたるクレバーな動きは見ものだ。W杯メンバー33人中・19人を占める初出場選手の中で、特に期待を集める選手の1人。長田選手が初のW杯の舞台でも持ち味を存分に発揮できれば、チームは勢いに乗り、確実に目標に前進するはずだ。

文/佐藤新

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