軟鉄鍛造の本格マッスル HS40m/s台のクラブフィッター評価は！？

フェースからネックまで一体成型する世界特許技術「グレインフローフォージドHD」を搭載した最新「ミズノプロ」シリーズ。前作同様に3機種「241」「243」「245」構成だが、今回は打感と操作性の高さが特徴のマッスルバック「ミズノプロ 241 アイアン」をピックアップ。前作「ミズノプロ 221 アイアン」と比べながら有識者3人が採点。ご意見番クラブフィッター・筒康博の評価は！？

「マッスルとは思えない寛容性の高さ まさに向上心を手助けする性能」

―率直な印象は？
「『ミズノプロ』のマッスルバックは以前使っていましたが、今作の特徴はその打感の秀逸さにあると思います。特にミスヒットに対する振動の少なさをすごく実感できました。見た目は難しそうに見えますし、試打クラブのシャフトスペック（ダイナミックゴールド HT S200）も、私にはハードな設定ですが、打感のフィーリングが向上したことにより、スイートエリアが広く感じられます。打点が中心部から外れたときでも、許容範囲に収まる寛容性の高さを感じることができました」

―寛容性が向上した要素は？
「一見では言い当てられないほどですが、前作（221）と比べると、フェース中心部より少し上部が肉厚になっています。わずかな差ですが、打点に対する衝撃を抑え、直進性を発揮することで、距離のバラつきを最小限に留める効果が感じられます。全体の形状は同じなのに、微小な肉厚調整でこれほどまでにフィーリングが変わるということに、かなり驚きました。私のHS（1Wで平均40～41m/s）でも十分結果が出せるのであれば、マッスルバックもアリだなと改めて思ってしまいます」

―素材も形状も大きく変わっていないのに、打感が変わったということですよね？
「はい。軟鉄鍛造マッスルバックは、そもそも打感がやわらかく、ボールに吸いつくようなフィーリングが特徴です。うまく打てれば、そのフィーリングが得られますが、今作（241）はスイートエリアを外したときでも、その感覚が味わえる点が新しい。今までの同社マッスルバックで一番やさしいモデルではないかと思えてしまうほどで、[シリーズ史上最強にやさしい軟鉄鍛造|#00AE9D]]といってもおかしくない。これは技術や腕前に関係なく、チャレンジできてしまうように感じます。7番の試打だけでそこまで言い切るのは危険かもしれませんが、それほどまでに前作との違いを感じました」

―同社が“軟鉄鍛造一本やり”から“鍛造全般”に力を入れていることが影響している？
「そう思います。これまで軟鉄鍛造にこだわらず、いろいろな金属や製法をトライ&エラーしてきた結果、原点となる軟鉄の良さも引き出せたといえるでしょう。軟鉄鍛造のマッスルバック＝ゴルフがうまい人限定、という決めつけをしていたことは過去の話。スコアやHSに左右されず、上昇志向と格好良さを求めるゴルファー向け。十分使いこなせるようになるまで練習場に通ったりコースに行ったりする意欲を抱かせてくれる。ゴルフを始めて最初に購入したアイアンセットのような、ワクワク感を数十年ぶりに味わうことができました」

―他社でいうと類似モデルは？
「マッスルバックモデルの数が減ったため、すぐに思い浮かぶモデルはないのですが、見た目のシャープさとやさしさという共通点で、テーラーメイド『P770 アイアン』を挙げたいと思います。形状も素材も製法も全く違うのですが、ユーザー層でいうと近いのではと感じます。また同社内でいえば、『JPX 923 TOUR アイアン』からの移行も十分あり得る。意外なほどのやさしさから、マッスル同士ではなく別カテゴリーのほうがライバル関係にあるように感じます」

―どのような人向き？
「練習量もラウンド回数も多く、週に1～2回はレッスンを受け、上達したいと強く願っているゴルファー向き。特に、20～40代の比較的に若い層で、ゴルフを始めて2セット目、もしくは本格的にクラブ購入を考えての1セット目として、検討していただきたいです。シャフトもフィッティングをして軽量モデルで合わせられるとは思いますが、基本的には少し重めのほうが振り心地的はしっくり来ると思うので、ぜひ若い方に試してもらいたいと思います」

納得の打感で5点満点◎【総合評価4.5点】

【飛距離】4.5
【打 感】5.0
【寛容性】4.0
【操作性】4.5
【構えやすさ】4.5

・ロフト角：34度（7I）
・使用シャフト：ダイナミックゴールド HT（硬さS200）
・使用ボール：リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力／トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋