「2本入れていたエビフライは1本が精いっぱい」物価高・燃料費高騰・人手不足の“トリプルパンチ” 「ホーユー」問題からみえる給食業界の苦境

全国で学校給食などを提供する食堂運営会社「ホーユー」が事業停止状態に陥っていること受け、9月7日も県内の定時制高校などでは、給食の中止が続いています。

<先生>
「あいさつします。手を合わせてください。おいしいお弁当をいただきます」

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静岡県富士市の富士特別支援学校です。小学部から高等部まであわせて380人あまりが通うこの学校でも、3年前から広島市に本社を置く「ホーユー」に給食の調理業務を委託していました。

<富士特別支援学校 滝尾彰彦校長>
「いま、給食が止まっているので、家から持ってきたお弁当を仲よく食べているところです」

9月1日までは学校側で食材を調達し、「ホーユー」と契約する調理員が給食の調理に当たっていました。しかし、「ホーユー」と連絡が取れなくなり、9月4日からやむなく給食を中止しました。現在は、子どもたちが弁当を持参しています。

<先生>
「給食食べたいですか?」

<生徒>
「はい」
「僕は給食がいいです」

<富士特別支援学校 滝尾彰彦校長>
「学校の給食を子どもたちはすごく楽しみにしている。私たちとしても、こどもたちの体と心を育てていくためには、給食は大事な部分を占めていると思う」

静岡市や富士市などで企業や事業所向けの弁当=産業給食を製造・販売するこめやフードサービスです。こちらの会社では、1日に約2,000社に向けて2万食の弁当をつくっていますが、3年ほど前から食材の価格高騰に頭を悩ませています。

<こめやフードサービス 広野真也取締役>
「鶏のから揚げは1年前と比べ、25%アップしている。エビフライは、2年前は2本入れていたが、いまは1本入れるのが精いっぱい」

食材の仕入れ値は、2022年と比べると全体で20~25%ほど値上がり。さらに燃料費や光熱費は2022年の2倍近くにまで高騰しているといいます。こめやフードサービスの広野真也取締役は「ホーユー」の事業停止は物価や燃料の高騰だけでなく、給食業界が抱えていた“別の問題”も浮き彫りにしたと話します。

<こめやフードサービス 広野真也取締役>
「一番は(配達する)人がいない、人員不足が非常に問題。つくることができても、配達することができない会社が出てくるのではと(同業者と)話をした」

物価高、燃料費の高騰、さらに人手不足。“トリプルパンチ”ともいえる給食業界の苦境を支えているのは、事業者の使命感です。

<こめやフードサービス 広野真也取締役>
「利益については、圧迫しているのは事実。その中で、お客さんにおいしいモノを提供したい。満足してもらいたいという気持ちがある」

静岡県内でも、当面影響が続きそうなこの問題。「ホーユー」だけでなく、業界が抱える課題を解決しなければ、いつか給食が食べられない日が来てしまうかもしれません。

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