「救える命だった」患者死亡で謝罪 神奈川県立こども医療センター 調査委は術後管理を問題視

入院患者の死亡について謝罪する県立こども医療センターの黒田総長(中央)ら=7日午後、横浜市南区

 神奈川県立こども医療センター(横浜市南区)で2021年に起きた入院患者の死亡事故を巡り、同センターは7日、事故調査委員会による調査結果報告書を公表した。調査委は手術後の患者への対応について、必要な検査や点滴の投与をせず、容体急変後も心肺蘇生が遅れるなどしたと指摘。同センターの黒田達夫総長は「救える命だった可能性は大きい」と謝罪した。

 報告書によると、患者は21年10月6日に手術を受け、11日未明に容体が急変して亡くなった。患者は子どもで年齢や性別、病名は非公表。死因は敗血症や下痢症に伴う脱水症、低カリウム血症による全身状態の悪化、非代償性ショックが関与した可能性があるとされたが特定はできなかった。

 調査委は手術自体は適切だったとしつつ、手術後に一般病棟に移ってからの対応を問題視。発熱や下痢、嘔吐(おうと)などの症状が現れたものの、原因究明のための検査を実施しなかったのは「一般的ではない対応」とし、点滴を投与しなかったのも「適切ではなかった」とした。

 11日未明の容体急変後については、午前4時半過ぎには心電図で波形が表示されなかったのに、心臓マッサージを始めたのは約50分後で「改善の余地があった」と指摘した。

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