神戸「モトコー」に現代アート空間 ミュージアム開館 伝える高架下“残り香”と歴史、12月末まで

カラフルな廃材を通路に飾ったアーティストの作品。モトコーの雑多なイメージを表現したという=7日午後、神戸市中央区元町高架通(撮影・風斗雅博)

 「モトコー」の愛称で親しまれてきたJR神戸線元町-神戸駅間の元町高架通商店街に7日、現代アートの空間「モトコーミュージアム」が登場した。モトコーはJR西日本グループが再整備を進めており、12月末までの暫定利用として開設。モトコーの歴史を伝えながら、新旧ない交ぜの空間を形成している。

 旧モトコー6番街の「6街区」の677平方メートルにオープンした。JR西日本不動産開発(大阪市)が、全国で都市計画を手がける入川ひでとさん(66)の会社に企画・運営を委託。現代アーティスト岡本亮さん(46)=兵庫県加古川市=が監修した。

 9組の作家が参加し、内部の店舗跡や通路などにインスタレーションや造形作品などを展示。作品には「モトコータウン6」の大看板など、かつて使われていた部材も再利用している。山側の区画では、戦前から阪神・淡路大震災までの神戸を象徴する写真約70枚を展示している。

 7日はオープン記念イベントがあり、神戸・元町で育った入川さんは「自分も、こだわりのある店ばかりのモトコーに育てられた。場所が持つ記憶やプライドを、ミュージアムで再現したい」と語った。

 ミュージアムは土日祝日の午後1~5時に入場可能。期間中、「一夜限りのスナック」や、トークイベントも予定している。ミュージアム終了後は解体工事に入る予定。入川さんは「ミュージアムの後も、モトコーが地域を結ぶ『背骨』となるような仕掛けを続けたい」と話している。

 モトコーは戦後、闇市としてにぎわい、国内外の多種多様な商品が集まる空間として知られた。2018年、高架橋の耐震補強や防火対策のため、JR西日本不動産開発が再整備に着手。現在は3、7街区の一部で再整備を終え、テナント区画が開業している。(広岡磨璃)

© 株式会社神戸新聞社