重松清さん 創作の軌跡 10日から岡山で特別展

赤で手直しした校正刷り。細部までのこだわりが感じられる

 津山市出身の作家重松清さん(60)の創作の軌跡をたどる特別展「重松清ヒストリー」が10日、岡山市北区南方の吉備路文学館で開幕する。著書やインタビュー記事、出版前の校正刷りなど約200点を展示。「ビタミンF」で直木賞を受賞した人気作家の初の本格的な回顧展となる。

 重松さんが津山市の実家を整理する中で、昨年多数の資料を吉備路文学館に寄贈したことから実現した。目玉は自ら監修した「自筆年譜」。縦72センチ、横4メートル46センチの長大なパネルで壁面を飾る。転居、入学、卒業、就職といった節目の出来事を細かく記し、〈引っ越しの多い家庭に生まれ育ったことが、自分の発想や価値観にも大きな影響を与えている〉など、その時々の心情をコメントしている。

 このほか、単行本の文庫化のために自ら赤で手直しを入れた校正刷りや子ども時代の作文など貴重な資料が並び、明石英嗣館長は「重松さんの想像力の豊かさや作家としてのこだわりを感じてほしい」と話す。

 11月26日まで。休館日は月曜(祝日は開館)と9月19日、10月10日、11月4、24日。10月1日午後1時半、岡山大鹿田キャンパス内の「JUNKO Fukutake Hall」(岡山市北区鹿田町)で重松さんの講演と高校・大学生との座談会、サイン会が開かれる。先着100人。入場料千円。吉備路文学館(086―223―7411)に申し込む。

重松清さん(新潮社提供)

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