富士大GK折口輝樹が総理大臣杯4強進出の立役者に。日本代表FW町野修斗を完封した実力者がチームを高みへ導く

大学サッカーの全国大会・総理大臣杯3回戦が6日に宮城県松島町内で行われ、富士大(東北第2代表)が中京大(東海第1代表)に0-0とPK戦(7-6)の末に勝利し、東北勢13年ぶりの準決勝進出を決めた。

この日行われた3回戦は大雨による影響で試合会場が宮城県七ヶ浜町から松島町の競技場に変更となり、人工芝フィールドにも水たまりができるほどピッチコンディションが劣悪な中で行われた。

その中でも守護神を務めるGK折口輝樹(セレッソ大阪U-18出身)は安定したプレーで中京大の攻撃をシャットアウト。ユース時代にJ3で1試合プロの舞台を経験したプロ注目のゴールキーパーはこの大会で存在感を見せている。

大雨の中の試合で試合の難しい試合の入りとなったが、「やることが全員でチームではっきりしていたので、バックラインに声をかけ続けて、やられないようにする意識でやってました」と冷静なコーチングで守備陣を手足のように動かして中京大の猛攻をしのいだ。

中京大は後半から身長185センチの中京大DF桒田(くわた)大誠(3年、暁星国際高出身、J1柏レイソル内定)をFWで途中投入し、ハイボール攻勢をしかける。ゴール前での攻防がより激しくなるも、「怖かったですね。ただハイボールは自分の強みなので、負けたくないという気持ちでがむしゃらに頑張っていました」とパンチングなどのハイボール処理で危機を脱した。

そしてPK戦にもつれ込み、中京大のラストキッカーがシュートを外すと富士大イレブンの歓喜の輪がつくられた。

中京大は折口の出身地でもある愛知県の大学であったため、人一倍この試合にかける思いがあった。これまでPK戦に負けたことがないという守護神は「絶対負けたくない一心でやっていましたし、相手のキーパーにも絶対負けたくないという気持ちでやりました」とやり切った表情を浮かべていた。

町野も止めた実力者

Jリーグクラブ入団志望の折口にとって、Jリーグクラブスカウトが集まる総理大臣杯は重要な位置づけにある。「(スカウトには)自分の長所がシュートストップだったりクロスへの対応なので、そこを見てくれたらとうれしいです」とアピールした。

これまで数チームのJリーグクラブの練習参加やエリートリーグ出場などこなしており、この大会で弾みをつけたい。

2019年10月6日に行われたJ3第25節アウェー・ギラヴァンツ北九州戦でC大阪U-23のゴールキーパーとしてJリーグデビューを飾った折口は、当時北九州に所属していた日本代表FW町野修斗(現ドイツ2部ホルシュタイン・キール)のシュートを完封してチームに2-0の勝利をもたらした。

折口は「あのときの自分を振り返って、今と比べてどうだったかと考えます」とJリーグで戦った経験を比較しながら成長に結び付けてきた。

富士大進学後は入学後すぐにスタメンの座をつかみ、天皇杯2020年大会2回戦でアマチュア屈指の強豪JFLソニー仙台を3-2で破る大金星に大きく貢献した。

だがコロナ禍の影響で大学2年次に出場を決めていた総理大臣杯出場をチームは辞退。大学3年次は控えの座となり、チームメイトは天皇杯でJ1のFC東京と戦う中、ベンチで見守るしかできない自分を悔やんだ。

それでも「試合に出るために何をしなければいけないのか考えました。自分の長所であるシュートストップや、ハイボールの処理をもっと強みにできるのかを考えて練習に取り組んでました」と腐らず努力を続けた。

そして満を持して出場した大舞台で、富士大初の全国大会1勝を皮切りに快進撃をゴールから支え続けた。

ユースの同期はC大阪DF西尾隆矢、J2のFC町田ゼルビアFW藤尾翔太、J2ヴァンフォーレ甲府MF松本凪生、J3のFC大阪MF吉馴空矢がJリーグの舞台で活躍している。

背番号25は「同期には刺激も受けていますし、同じ舞台に立って味方としても、相手としても戦いたいと思っています」と同期たちが活躍する舞台に向けてアピールを続ける構えだ。

準決勝の相手は大学サッカー屈指の強豪法政大と対戦する。折口は「一戦、一戦勝つためにやってきています。チーム全員が同じ方向を向いているので、それを続けて法政さんも倒して決勝に行けたらと思います」と東北勢初の同大会決勝進出の意欲を語った。

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桜のアカデミーで育ちで、富士大の守護神折口は総理大臣杯でさらなる快進撃を見せて、プロの舞台へと返り咲いてみせる。

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