富士大が東北勢として13年ぶりに総理大臣杯準決勝進出!高鷹監督「初戦と一緒」という気持ちでやり切った

総理大臣杯で快進撃を見せる富士大の勢いが止まらない。1回戦で周南公立大(中国第2代表)、2回戦で日本経済大(九州第1代表)、3回戦は昨冬のインカレ8強の中京大(東海第1代表)を0-0でPK戦(7-6)の末に打ち破って準決勝に駒を進めた。

東北勢の同大会4強は2010年大会で仙台大の4強以来となる13年ぶりの快挙を果たした。富士大高鷹雅也監督に話を伺った。

劣悪な状況でも手にした勝利

――本日地方大学強豪中京大と土砂降りの中という普段経験しないようなピッチコンディションの中で試合をされました。振り返っていかがでしたか。

まず場所(大雨の影響で試合会場が急きょ変更)が変わったことで、学生にタイムスケジュールの管理や、アップから試合までの時間の管理を促しました。

全く違う環境になって、そしてアップが終わって、もうベンチもないロッカーもない状態から移動して、キックオフでドタバタしないかと思っていましたけど、彼らもこの舞台をしっかりと理解して、スムーズにピッチに入れるように準備してくれたことが良かった。

――選手たちは落ち着いているように見えました。

(選手たちは)自信があるんだろうけど、なかなかチームとして機能というかフィットしきれないのがずっとシーズン序盤であった。

去年のチームをあまり例にすると彼らも面白くないんだけど、それより何か違うものを作り出そうという感じはずっと見えていました。

そこに時間はかかったけど、徐々に好不調の波が激しいけど、この全国大会はなかなか勝ち上がることもできなかった中で、全国2勝というちょっと遠い目標を立てました。

準備のところでも事前の合宿を含めてちょっと希薄だったけど、いざ本番を迎えて実感するところがあったのか、そこでやれるんじゃないかというところが出たのが良かったとは思っています。

気負わずに法政大と戦う

――流れの中ではクリーンシートでPKの末に勝ちました。折口輝樹選手もスーパーセーブが見られました。

決定的なシーンはそんな作られなかったけど、大きい選手がパワープレーで入ってきて、ハイクロスの攻防に対して、なかなかここに至るまでにゴールキーパーが飛び出してほしいと要求をしていたけど、チャレンジできない部分が折口に限らずキーパー陣にあった。

だけどきょうはそういった部分で手が1個出てきたことによってしのぐ機会が増えました。

PKはできれば1本止めてほしかったけど、よくしのいでくれました。

大会前に4年のマネージャー兼学生GKコーチからハイクロスの練習時間が欲しいとリクエストがあり、トレーニングしていた部分がきょう生きていた点はGK陣にとって自信になればと感じてます。

富士大の守護神折口輝樹(セレッソ大阪U-18出身)

――フィールド選手たちも粘り強く戦いました。

競り合い頑張ってくれているところもそうですけど、攻撃になった際は個人で1枚2枚剥がすようなところは何人かの選手に要求しています。こういうピッチの中でも、もう少し(攻撃の部分で個人突破が)出してほしかったかな。

ポゼッションで支配するのは難しいけど、決定機の前にチャンスの流れを作るようなところがもう1つ、2つ、攻撃のところでもうちょっと出してもらいたいところがありますね。

――今大会の目標が8強でしたけど、これで目標を超えて4強に入りました。成長の手応えはありましたか。

最初から高望みして優勝や決勝進出というのは…。だから彼らには「初戦と一緒」というところでしかないのかなと。中1日しかないですしね。

ただありがたい話として、法政さんの総監督の照井(博康)さんは私の高校の大先輩でもあって、そういった方々の携わっているチームと本番で試合ができることは「僕、これでもう死んでもいいかな」というぐらいの(笑)。僕個人はそのぐらいの想いもあります。

相手のレベルは高いですけど、気負わずに戦いたいです。

地方でも表舞台に立つ

――東北の大学として大学サッカーにどう貢献していきたいですか。

私自身営業(学生のスカウト)活動をさせてもらって。岩手県は私の出身であるので、岩手県の大学にいながら、岩手県出身の選手が少しでも中心選手含めてチームの主軸を担ってほしいという思いを持ちながら多方面で営業活動しています。

みんなが振り向いてくれるようなチーム、大学になるというところと、地方にいながらもサッカーを続ける子も含めて表舞台に出ていけるような状況に持っていきたいと思っています。

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これまで総理大臣杯で決勝に進出した東北勢の大学は過去にない。それだけに法政大を打ち破って東北初の総理大臣杯決勝進出、そして優勝を達成したい。夏の全国で快進撃を見せる富士大から目が離せない。

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