コロナ後遺症、新治療法の確立目指す 川崎のクリニックがプロジェクト発足

TMS治療の様子。患者の頭部に装置を当てる(東京横浜TMSクリニック提供)

 川崎市中原区と東京都内に拠点を持つメンタルヘルス治療専門の東京横浜TMSクリニック(大澤亮太理事長)が、いわゆるコロナ後遺症に対する新治療法を確立しようと、プロジェクトを発足させた。うつ病治療などに用いるTMS療法を転用し、有効性を探る。この秋から、患者70人に対する臨床試験を予定しており、協力者を募っている。

 新型コロナウイルスの感染拡大により、頭の中がかすんだように感じて物事に集中できない「ブレインフォグ」など、精神症状的な後遺症による合併症も知られてきた。しかし、有効な知見は乏しく、現状では手探りで研究が行われているのが実情という。

 同クリニックなど3院は今春、予備的な調査を実施。TMS療法がコロナ後遺症によるうつ症状、ブレインフォグ、慢性疲労に関して、効果が期待できるとの結果を得た。

 さらに精度の高い科学的検証を目指し、厚生労働省が認定する臨床研究審査委員会(CRB)の承認を受け、プロジェクトが始まった。大澤理事長は「苦しむ患者さんの病状を改善させる治療法を模索し、確立するのは社会的、医学的な急務」と意義を語る。

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