ガソリンの値上げに負けない! 運転テクで燃費がよくなる「ガソリン節約術8」

(写真:PIXTA)

15週連続で高騰しているガソリン価格。ついに全国平均価格が1リットル当たり185.6円と過去最高を記録。政府は175円程度に抑える方針を表明したが、負担は重い。

「いまこそ燃費よく走れる“楽エコ運転”を実践するといいですよ。燃費が平均で20%向上し、年間2万円以上もガソリン代を節約できます」

そう話すのは、自動車教習所ファインモータースクール(さいたま市)のエコドライブ講習「楽エコ運転」の開発担当者の古田秀人さん。運転歴などに関係なく、運転技術や心がけを見直すだけで、ガソリン代を大幅に節約できるという。

そこで、古田さんにガソリン高騰を乗り切る運転の心得を教えてもらった。

【1】2秒分以上の車間距離を

「車間は、2秒分以上の距離をキープしましょう。車間距離が短いと、前車がスピードを落とすたびにブレーキを踏んだり、頻繁にアクセルを踏んだりしがち。ムダな加速や減速が多くなると、市街地では2%程度、郊外では6%程度も燃費が悪化します」(古田さん・以下同)

2秒分以上を確保するには、道路脇の電柱など目印を決め、前車が目印を通過したら「ゼロイチ、ゼロニ」と数える。ゼロニのときに自車が目印に到着すればOK。

【2】発進は「5秒で20キロ」を意識

「発進するときは、アクセルペダルを“体重計”だと思い、足をのせて1キロずつ目盛りを徐々に増やす感覚で踏み込んでみてください。発進してから約5秒で20キロになるように緩やかに発進し、あとは目標速度まで加速するだけ。ゆっくりではなく、丁寧に踏み込むので、発進が遅れて流れに乗れず後車に迷惑がかかることもありません。この“ふんわりアクセル”が最も燃費がいいんです」

コツは、ブレーキから右足を離し、約1秒かけてアクセルに踏みかえること。その間に、ブレーキを緩めると車が自然に動きだす「クリープ現象」の力を利用でき、ガソリンの消費が少なくて済む。

「車は発進して加速するときがいちばんガソリンを使います。信号などで発進停止の回数は多いですから、発進をひと工夫するだけで節約効果大です」

【3】できるだけ一定速度で走る

同じ速度で走行しても、頻繁に速度を変えるほど、多くのガソリンが使われる。

「一般道路で一定速度を保ちながら運転するコツは、速度計だけに頼らず、流れていく景色の速さや、エンジン音やタイヤの転がる音に意識を向けること。『スピードが出てきた』『減速してきた』と判断しやすくなります」

ファインモータースクールの実験結果では、平均速度80キロで減速と加速を繰り返した運転と、一定速度で走った場合、到着時間は同じでも約30%も燃費が向上したという。つまり、10リットルのガソリンで走れる距離が、1リットル170円とすると約500円も節約できる。

「高速道路などではクルーズコントロールを使ったほうが、燃費は確実によくなるでしょう」

【4】減速時は早くアクセルを離す

「アクセルを離すと、エンジンの回転が低くなってスピードが落ち、ブレーキがかかったような状態になります。するとガソリン車の場合、燃料の供給を一時的にストップさせる『燃料カット機能』が働くため、その間、消費燃料はゼロ。60キロ走行の場合、惰性で進む距離は約200メートル。約2%の削減が見込めます」

ハイブリッド車やEV車でも有効だという。

「アクセルを離すとハイブリッド車は、モーター走行するための電池を充電します。EV車も、その間に発電して充電するため、燃費や電費の向上につながるのです」

【5】エアコンの使い方をひと工夫

「これからの季節、暖房を使うときはACスイッチはオフに。エアコンに暖房機能はなく、エンジンから出た暖かい空気をそのまま車内に送るだけなので、オフでも暖房は機能します」

まだまだ残暑が続くが、冷房の場合はオート機能を使うのがおすすめだという。

ただし、燃費が悪くなるからと冷房を我慢すると、車内環境が悪くなり安全運転に影響する。心地よいと思う温度設定を心がけよう。

【6】タイヤの空気圧をチェック

タイヤの空気圧は、1カ月で約5~10%自然に低下する。

「たとえば、空気が抜けた自転車をこぐと、とても重く感じます。車も同じで、空気圧が低い状態で走行すると、市街地では2.5%、郊外では4.3%、高速道路では4.8%程度も燃費が悪化するそうです。空気圧のチェックは、2週間に1度行いましょう」

また、夏より冬のほうが空気圧は下がるため、これからの季節はより注意しておきたい。

【7】不要な荷物を下ろす

「ゴルフバッグやキャンプ道具など、荷物を積みっぱなしにして車が重くなると、アクセルを強く踏まなければいけないため、よりガソリンを使います。必要のない荷物は下ろしておきましょう」

車体を軽くするためには、ガソリン満タンも避けるべき?

「ガソリンの比重は軽いですし、こまめにガソリンスタンドに行く手間や距離を考えると、反対に燃費が悪くなるとも考えられます。災害や万一のときを考えても、気にする必要はありません」

【8】ゆっくり走りすぎない

「国内メーカー車は、60キロが最も効率よく走れるように設計されています。ゆっくり運転したほうが燃費がいいわけではありません。高速道路の場合、最も燃費がいいのは80キロ。それ以上は空気抵抗が強くなるため、1キロ約1%燃費が悪化します」

ファインモータースクールが、一般ドライバーと比較したところ、年間燃料費は一般ドライバーが11万5632円。楽エコ運転では9万3104円に(年間走行距離1万キロ、ガソリン1リットルあたり176.7円で計算)。

その差額はなんと2万2528円! 10年間続ければ、約20万円の節約になる。

「燃費が悪い古い車や外車を運転しているなら、さらに燃費代を節約できるはずです」

楽エコ運転を身につければ、ガソリン代の節約になるだけでなく、タイヤやオイルの消耗を抑えられてメンテナンス費用も浮く。さらに交通事故を減らし、CO₂削減にも効果大。

運転技術を見直して、ガソリン代高騰を乗り切ろう!

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