丸亀製麺が2000億円企業に向けて順調な滑り出し、M&A効果で上振れも?

丸亀製麺武蔵小杉店

「丸亀製麺」を運営するトリドールホールディングス<3397>の業績が好調です。

2024年3月期の売上予想は前期比12.6%増の2120億円という高い目標を掲げていますが、第1四半期の段階で進捗率は24.8%に達しており、堅調な滑り出しを見せています。

第2四半期からは7月11日に子会社化したイギリスのピザ・ギリシャ料理店運営のFulham Shoreが連結される見通し。この会社の2022年3月期の売上高は134億8200万円。連結するトリドールは、業績の更なる伸びに期待ができます。

この記事では以下の情報が得られます。

・トリドールの業績推移
・業績好調の背景

3日間で21万食が売れた「丸亀シェイクうどん」

トリドールの2024年3月期第1四半期の売上高は前年同期間比20.2%増の526億6400万円、事業利益は同37.2%増の39億500万円でした。前年度はこの期間に新型コロナウイルス対策としての時短協力金など政府補助金を25億1700万円計上していましたが、今期は400万円に留まっています。その影響で最終利益は前年同期間比25.9%減の28億900万円となりました。特殊な要因によって最終利益は減益となったものの、本業で稼ぐ利益は大幅増益となっています。

※決算短信より筆者作成

トリドールは2024年3月期の事業利益を前期比38.2%増の96億5000万円と予想しています。国内では原材料高やエネルギー高、人件費の高騰という逆風が吹いており、強気の予想を出しているように見えます。しかし、第1四半期の時点で進捗率は40%を超えました。増収効果で逆風を跳ねのけています。

国内事業は特に好調で、丸亀製麺の2024年3月期第1四半期の売上高は前年同期間比12.6%増の284億6400万円、事業利益は同21.4%増の46億7600万円でした。

新商品とマーケティング戦略が奏功しています。

5月16日に販売したテイクアウト商品「丸亀シェイクうどん」は3日間で21万食、6月末までに157万食を売りました。この商品の単価は390円から540円。仮に平均販売単価が450円だったとすると、1か月半ほどで7億円の売上を得たことになります。

2023年3月から放送している新たなテレビCMは、5月の好感度調査で1位を獲得。TOKIOの松岡昌宏さんと新メニューを開発し、この商品は285万食を販売しています。

丸亀製麺はテレビCMに多額の費用を投じていますが、第1四半期の事業利益は過去最高を記録するなど、集客効果の方が高いという好循環を生み出しています。


香港で大ヒットしたヌードルチェーンを買収

海外事業でも勢いに乗っています。2024年3月期第1四半期の海外事業の売上高は前年同期間比37.7%増の174億8600万円、事業利益は同83.1%増の7億4200万円でした。

トリドールは丸亀製麺の海外版「Marugame Udon」を2023年6月末の段階で233店舗出店しています。台湾や香港、フィリピンなどのアジア圏だけでなく、イギリスに11店舗、アメリカに11店舗を出店するなど、欧米にも進出しているのが特徴です。

海外で収益貢献が高い事業に、香港のヌードルチェーン「譚仔三哥米線(タムジャイサムゴー)」があります。トリドールは2018年1月に運営会社のTamjai Samgor Mixian Limited等の株式を100%取得しました。孫会社となったTam Jai International Co. Limitedは2021年10月に香港証券取引所に上場しています。この会社の直近通期の売上高は25億9000香港ドル(およそ500億円)でした。2023年3月期のトリドール海外事業売上高の8割を占める金額です。

Tam Jaiは2023年3月期に香港、中国本土、シンガポール、日本など合計40店舗を出店。総店舗数は215となりました。2024年3月期は更に45店舗を新規出店する計画を立てています。

2023年3月期は中国のロックダウンの影響を受け、入場制限などのマイナス要因となった日が70日以上ありました。2024年3月期はコロナの影響をほとんど受けることなく営業できるため、数字の伸びには期待ができます。

2023年7月に子会社化したFulham Shoreは、欧州の外食産業に特化した投資ファンドCapdesia Group Limitedからの提案でした。トリドールは2020年7月に同社との合弁会社MARUGAME UDON (EUROPE) LIMITEDを設立。丸亀製麺のヨーロッパ展開に向けて連携を深めていました。

買収したFulham Shoreは2022年3月期の売上高が134億8200万円、事業利益が10億7100万円でした。利益率は7.9%と飲食店の運営会社としては稼ぐ力の強い会社です。

海外企業の買収で見逃せないのが円安の影響。トリドールは2024年3月期第1四半期において、円安が47億9100万円の増収、3億3700万円の増益効果を生んだと説明しています。

このタイミングでのM&Aは更なる増収増益効果に期待できるでしょう。

麦とホップ@ビールを飲む理由

麦とホップ

しがないサラリーマンが30代で飲食店オーナーを目指しながら、日々精進するためのブログ「ビールを飲む理由」を書いています。サービス、飲食、フード、不動産にまつわる情報を書き込んでいます。飲食店、宿泊施設、民泊、結婚式場の経営者やオーナー、それを目指す人、サービス業に従事している人、就職を考えている人に有益な情報を届けるためのブログです。やがて、そうした人たちの交流の場になれば最高です。

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