【やまぐち深発見紀行】 No.259「徳地・林滝野顕彰文学碑」

▲碑文「詩天九重」は堀口大学の筆による

 林滝野は、文芸誌「明星」の発行人に名を掲げる与謝野鉄幹の元妻。彼女を顕彰して、生家跡には文学碑が建立されている。

 1877(明治10)年、佐波郡伊賀地村(現山口市徳地伊賀地)に、資産家・林家の長女として生まれた滝野は、徳山女学校在学中に、教員だった与謝野鉄幹と出会った。

 卒業後、仮祝言をあげた鉄幹と滝野は上京。麹町に構えた新居には多くの文人が集まっていたという。

 1900年、鉄幹主宰・滝野発行の文芸誌「明星」が創刊した。娘を思う林家からの金銭的援助も大きかったと言われている。

 しかし、翌01年に鉄幹とは離別。滝野は詩人・正富汪洋と、鉄幹は鳳晶子と結婚した。

 1979年、地元住民らによって彼女を顕彰する文学碑が建立された。

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