旧中山家住宅、23日公開 茨城・八千代町、活用法を模索

旧中山家住宅の内部=八千代町川尻

茨城県八千代町は23日、明治時代に建てられた同町川尻の「旧中山家住宅」を一般公開する。中山家はしょうゆ醸造などを手がけた大地主。建物や土地は現在、町が所有している。町は見学者から意見を募るなどして活用法を模索する。

町によると、中山家は江戸末期にしょうゆ醸造を始めたとされ、1886(明治19)年に商標登録を出願。「亀甲忠」との銘柄のしょうゆを造っていた。当主は江戸期に「忠蔵」、明治以降は「忠造」を名乗り、村長など数々の要職を務めた。しょうゆ醸造以外に材木販売など複数の事業を展開し、大地主でもあった。

2007年に中山家から建物や土地が早稲田大に寄贈され、研修施設として活用できるよう主屋の一部を改造。農業体験などの合宿所に使用されたが、新型コロナウイルスの影響もあり、20年から利用が絶えていた。大学側から町に寄付の申し出があり、22年3月に町有財産になった。

土地は約1万1484平方メートル。建物は長屋門(1868年築)や木造瓦ぶき平屋建ての主屋(1904年築、約390平方メートル)などがある。老朽化が進み、主屋の屋根の一部はシートで覆われている。2棟あったというしょうゆ醸造倉庫は現在残っていない。

町は施設の保存、活用について検討しており、23日の公開で町民に古民家の存在や歴史を知ってもらうことで、考える機会にしたいとしている。公開日は町歴史民俗資料館の職員やボランティアの県立八千代高生などが案内役を務める。パネルや写真、しょうゆだるの復元模型を展示し、アンケートを行う。町まちづくり推進課は「参加して意見を出してもらいたい」と、来場を呼びかけている。

公開時間は午後0時半~4時。キッチンカーも出店し、見学者には商品の引換券が配られる。問い合わせは同課(電)0296(49)6312。

大正時代ごろとみられる中山家住宅の主屋(八千代町提供)

© 株式会社茨城新聞社