築170年の長崎の古民家 解体取りやめ、カフェに再生へ 女性応援のレンタルスペースも

「梅香崎商店」に生まれ変わった生家の前に立つ三上政晴さん(左)と妻の純子さん=長崎市梅香崎町

 長崎市梅香崎町の築170年余りの古民家がリノベーションされ、10月1日、レンタルスペースとカフェ「梅香崎商店 Hana mo mi mo(はなもみも)」としてオープンする。所有者の三上政晴さん(74)は生まれ変わった生家に「残して良かった」と目を輝かせる。
 幕末に建てられた木造2階建て。三上家が1879(明治12)年、中古で購入し、米や肥料を売っていた。その後、父英三さん(2006年、101歳で死去)が油や塩を売る「三上油店」を開店。「三上商店」と親しまれた。長崎原爆や長崎大水害を経験し、同市の国指定史跡「出島和蘭商館跡」の復元工事では建物の外壁の参考にされた。
 約5年前に閉店し、家を引き継いでいた三上さんは管理費などを考え、解体を決意した。解体を翌月に控えた2年前の冬、市内の不動産業、明生興産の尾上雅彦社長(54)が家を見て、改修して残すことを三上さんに提案した。
 同社は空き家をリノベーションし、販売や賃貸事業を展開。若い世代向けに住宅を供給する市の「住みよかプロジェクト」にも認定されている。同社が古民家を改修したレンタルスペース「wabi(わび)/呂色(ろいろ)の梁(はり)」(大浦町)は利用者の約96%が女性で、常に予約で埋まっている。

リノベーション前(上)とリノベーション後(下)の室内=長崎市梅香崎町(明生興産提供)

 「wabi」に近い三上さんの家も女性を応援するスペースにしようと、今年2月に着工。約5カ月間の工事を経て、レンタルスペース3部屋とカフェが完成。英三さんが柿渋を室内などに塗っていたためか、大半を残すことができた。家具はインテリアに活用、表札もそのまま残した。町名の梅香崎と、1本の木に花も実も付ける梅になぞらえ「Hana mo mi mo」と名付けた。
 8月26日にお披露目会があり、三上さんは「こんなきれいになると思わんかった。歴史も風情もある。昔の家も考えて残さないといけないと考えが変わった」と語った。尾上社長は「古い家をきれいに仕上げるのではなく、できる限り元のまま残した。こんな方法もあると見てほしい」とPRした。
 今月19~21日、カフェをプレオープンし、その後、予約会などを開く。情報は随時インスタグラム(@umegasaki_syouten)で発信する。

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