WEC富士に“テストなし”で挑むストフェル・バンドーン。プジョー9X8での初レースも「大きなサプライズはない」

 9月8~10日に静岡県の富士スピードウェイで開催されるWEC世界耐久選手権第6戦富士6時間レースに、ハイパーカークラスに参戦しているプジョーのリザーブドライバーであるストフェル・バンドーンが、94号車プジョー9X8で出走する。

 これは、94号車のレギュラードライバーを務めるニコ・ミューラーが、鎖骨を骨折しているためである。

 代役を務めるバンドーンは、3月にスペインのモーターランド・アラゴンでプジョー9X8の走行テストを1回行った経験を持つが、今回の参戦へ向けては先週にシミュレーターを利用してマシンについて再確認しただけだ。

 しかしながら、富士6時間レースでハイパーカーのラインアップに加わるにあたり、「大きなサプライズはない」とバンドーンは語っている。

「少し前にクルマをテストしていたんだ。ロールアウトも行ったが、しっかりとしたテストは行えていない。常にもっと走行距離を増やしたいと思うものだが、プログラムを続けられるだけでうれしいよ」

「(今回の出走に当たって)大きな驚きはないと思う。最初は再びマシンに慣れる必要があるが、すでにマシンを運転した経験があり、このマシンをドライブするときに何が起こるかを知っているので、その面で大きな問題が起きるとは予想していない」

「放り込まれたときに最も陥りやすいのは、愚かな間違いを犯すことだ。今週末はすべての手順を正しく実行することで、それを避けようと思うよ」

プジョー・トタルエナジーズの94号車プジョー9X8

 6時間の決勝レースに出走するのは、彼が2021年にLMP2クラスにチーム・JOTAから参戦し、ランキング2位に終わって以来となるが、トップカテゴリーに出場するのは2019年にSMPレーシングからLMP1クラスで走った時以来だ。

 そのためバンドーンは、富士に向かう前にステランティスのシミュレーターを利用し、9X8の“復習”をする必要があるという。

「ここに来る前に先週シミュレーターを使用してマシンの確認を行ったが、それは非常に貴重だった」と語る。

「特に、レース中に予想される主なスイッチの操作など、ステアリングホイール上のボタンを操作する手順を思い出すのに有効だった」

「最近僕は、かなり多くのカテゴリーのマシンを乗り換えているんだ。F1マシンとフォーミュラEマシンに乗ることがあるが、それぞれボタンのレイアウトや操作方法が少しずつ違う」

「ただ、それらはすべて似たような機能を持っているため、慣れてしまえば使うのははるかに簡単なんだ。だから、ここに来る前にシミュレーションで少しでも復習できたのはとても良かったよ」

 上昇軌道に乗っているプジョーのハイパーカーに、突如乗り込むことになったバンドーン。事前にシミュレーターで操作の確認をしたというが、充分な走行セッションはまだ行えていない。上り調子にあるプジョーの期待に応えることができるのか、彼の走りにはフリープラクティスセッションから注目だ。

ル・マン24時間レースにリザーブドライバーとして帯同したストフェル・バンドーン

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