児童虐待、過去最多1085件 佐賀県内 202222年度 「面前DV」が半数占める

 佐賀県内の児童相談所が2022年度に対応した児童虐待の相談件数は5年連続で過去最多を更新し、1085件(速報値)と初めて1千件を超えた。全国的にも増加傾向にあり、県は虐待に対する社会の意識の高まりや相談方法の周知が進んだことが背景にあると分析している。

 相談の内訳は、心理的虐待が723件(66.6%)と最も多かった。次いで身体的虐待229件(21.1%)、ネグレクト122件(11.2%)、性的虐待11件(1.0%)だった。心理的虐待のうち、子どもの前で家族に暴力を振るう「面前DV」は569件で、全体の52.4%を占めており、全体数を押し上げた。

 虐待者は実父511人と実母437人で、全体の87.4%を占める。虐待の通告経路は警察が最多の716件(66.0%)だった。19年ごろから、捜査現場で少しでも虐待の懸念があれば児相に通告する態勢が徹底されている。

 児相の対応状況は、保護者らへの助言指導が932件(85.9%)と大半を占めた一方、親子を引き離す施設入所は19件(1.8%)、里親委託は3件(0.3%)だった。県こども家庭課は「早い段階での対応により、深刻化の未然防止につながっている面もある」とみている。

 県は8月21日から、LINE(ライン)を使った国の全国一元的な相談支援システムに参加している。アカウント名は「親子のための相談LINE」。緊急の場合は無料の児相対応ダイヤル「189」で受け付けている。(栗林賢)

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