雨中の”敵地”でフェラーリ499Pがワン・ツー発進。地元戦のトヨタ陣営は6〜7番手/WEC富士FP1

 シリーズ第6戦としてフライアウェイに突入したWEC世界耐久選手権『6 HOURS OF FUJI 2023』が、富士スピードウェイにて幕を開け、金曜午前11時からのフリープラクティス1(FP1)は、フェラーリAFコルセの50号車アントニオ・フォコ/ミゲル・モリーナ/ニクラス・ニールセン組がトップタイムをマーク。2番手にも51号車(アレッサンドロ・ピエール・グイディ/ジェームス・カラド/アントニオ・ジョビナッツィ組)が続いて、フェラーリ499Pが雨中の”敵地”で1-2発進を決めている。

 東海から関東地方にかけ台風が接近、上陸の予報が飛び交った前夜から、金曜の夜半に掛けて暴風に見舞われた静岡県だが、明けた静岡県・小山町は風こそ残ったものの、雨は小康状態に。午前9時45分開始予定だったサポートレースの公式練習こそキャンセルされたが、今季も上陸を果たした世界選手権の一行による、正午を挟んだ1時間半のセッションは無事に実施される運びとなった。

 路面はフルウエットで湿度は80%に迫ろうかという状況ながら、セッション開始と同時に各クラスの車両が次々とコースインし、ひさびさの富士を確認するかのように周回を重ねる。

 気温20度、路面温度は24度というコンディションのもと、ハイパーカーでは地元戦で気迫の籠るTOYOTA GAZOO Racingが先行。まずは8号車トヨタGR010ハイブリッドのセバスチャン・ブエミが1分41秒312として首位に立ち、開始20分を前に僚友7号車もホセ・マリア・ロペスが1分41秒073としてタイムを記録していく。

 しかし午前11時30分を前に路面の雨量も改善したか、ここでハーツ・チーム・JOTAの38号車ポルシェ963をドライブするアントニオ・フェリックス・ダ・コスタが1分40秒台に入っていく。

 まだ小雨が舞いドライへのチェンジオーバーには届かないながら、各車ともレインタイヤを守るべくホームストレートではイン側を通過する傾向も。そんななか、セッション開始50分を経過したところで、ここ日本を”準ホーム”とするフレデリック・マコウィッキ(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ5号車)が1分40秒252の自己ベストをマーク。

 ここから立て続けに首位が入れ替わり、まずは”ル・マン覇者”の51号車フェラーリ499P、ジェームス・カラドが1分40秒192とし、続いてプジョー・トタルエナジーズが送り込む”リヤウイングレス”純ハイパーカー、93号車プジョー9X8のポール・ディ・レスタが1分39秒台に入っていく。

 12時ちょうどから数分間のFCY(フルコースイエロー)テストを挟み、アントニオ・ジョビナッツィに交代していた51号車も1分39秒198までベストを更新。さらに50号車のアントニオ・フォコは1分38秒台をマークし、残り10分を切ったところでフェラーリ・AFコルセが1-2となる。

 ラスト5分の更新合戦でも499Pが主導権を握り、最終的に1分35秒649としたフォコが首位、同じく38秒258まで詰めたジョビナッツィが2番手に続き、3番手には94号車プジョー9X8のグスタボ・メネゼスが続くトップ3に。TGR陣営は最終的に7号車がマイク・コンウェイのドライブで1分39秒251として6番手、8号車はブレンドン・ハートレーが1分39秒291のタイムを記録し、7番手で最初のセッションを終えている。

 LMP2ではセッション前半からアルピーヌ・エルフ・チームの36号車オレカ07・ギブソン(マシュー・バキシビエール/ジュリアン・キャナル/シャルル・ミレッシ)がクラスを率いたものの、残り30分でチームWRTの31号車(ショーン・ゲラエル/フェルディナンド・ハプスブルク/ロビン・フラインス)が首位を奪取。

 さらに最後のアタックで1分40秒781とし、ハイパーカー・クラスの下位をも上回った28号車JOTA(デビッド・ハイネマイヤー・ハンソン/ピエトロ・フィッティパルディ/オリバー・ラスムッセン)組が首位に立ち、プレマ・レーシングの9号車(フィリップ・ウグラン/ベン・フィスカール/ファン-マニュエル・コレア)とユナイテッド・オートスポーツの23号車(ジョシュア・ピアソン/ベン・ハンリー/オリバー・ジャービス)を従える結果に。

 同じくLMGTEアマもセッションの大半を56号車ポルシェ911 RSR-19(プロジェクト1・AO)のPJ・ハイエット/グンナー・ジャネット/マッテオ・カイローリ組が最上位で過ごしたが、最後に77号車デンプシー・プロトン・レーシングのミケル・ペデルセンが1分43秒538と最速タイムを更新。

 小泉洋史とケイ・コッツォリーノがドライブした21号車フェラーリ488 GTEエボ(AFコルセ)は、1分48秒414でクラス7番手。星野敏と藤井誠暢の777号車アストンマーティン・バンテージAMR(Dステーション・レーシング)は1分47秒493として5番手に。

 木村武史と組んでWECデビューを果たした注目の宮田莉朋は、FCY直前にケッセル・レーシングの57号車フェラーリ488 GTEエボに乗り込むと、すぐさま1分50秒台の安定したラップを記録。最後までドライブを続けて1分49秒706までタイムを伸ばし、クラス11番手でセッションを終えている。

6号車ポルシェ963(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ) 2023年WEC第6戦富士6時間レース
94号車プジョー9X8(プジョー・トタルエナジーズ) 2023年WEC第6戦富士6時間レース
7号車トヨタGR010ハイブリッド(トヨタ・ガズー・レーシング) 2023年WEC第6戦富士6時間レース
28号車オレカ07・ギブソン(JOTA) 2023年WEC第6戦富士6時間レース
77号車ポルシェ911 RSR-19(デンプシー・プロトン・レーシング) 2023年WEC第6戦富士6時間レース
57号車フェラーリ488 GTEエボ(ケッセル・レーシング) 2023年WEC第6戦富士6時間レース

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