「もしも自分が野球ゲームに登場したら…」憧れをかなえた日本一のトップ野球YouTuberたちの原点

もし自分が選手としてゲームの中に登場したら――。スポーツゲームに熱中した経験がある人なら、誰もが一度は考えたことがあるのではないだろうか。
最近ではオリジナル選手を育成できるモードが搭載されているスポーツゲームも多い。そんな中、自分がゲームに登場するという憧れをかなえた草野球プレーヤーがいる。
トップ野球YouTuber「トクサンTV」のトクサンこと徳田正憲さんと、ライパチこと大塚卓さんだ。今回二人が所属する草野球チーム「天晴」が9月17日に発売予定の「プロ野球 ファミスタ 2020」に収録されることになった。そこで彼らに野球との出会いと子どものころのゲームの思い出について語ってもらった。

(インタビュー・構成・人物撮影=森大樹)

トクサンとライパチ、それぞれの野球の原点

ファミスタ』は過去作までのシンプルな操作感は踏襲しつつ、グラフィックの向上と新しいモードの追加で飽きさせないつくりとなっている。9月17日に発売となる最新作の『プロ野球 ファミスタ 2020』では前作に引き続き、NPBや独立リーグ、女子プロ野球などさまざまなカテゴリーの選手が収録された。また、ストーリーやパーティーゲームの要素を盛り込んでトクサンと同じファミコン世代から、ライパチのようなそうでない世代まで幅広い層が楽しめる内容に仕上がっている。

――まずは野球を始めたきっかけから教えてください。

トクサン:僕の場合は小学3年生からで、実は野球ではなく、最初はソフトボールでした。おやじとソフトボールチームの監督が知り合いで、地元の公園で遊んでいたら声をかけられたことがきっかけです。それまでは習字を少しやっていたのですが、そちらはすぐやめてしまいました(笑)。

ライパチ:僕は中学から野球を始めたので遅かったですね。それまでは柔道をやっていました。中学の最初のころは少し並行してやっていた時期もあったのですが、柔道がきつくて野球のほうが楽しかったので一つに絞りました。

――初めて買ってもらったグローブのことは覚えていますか?

トクサン:最初は倉庫にあるグローブを借りてやっていたのですが、ポジションがキャッチャーになったので捕る時に痛くて、キャッチャーミットを買ってもらいました。今は廃盤のシリーズですが、ミズノの『ワールドウィン』の茶色のミットでした。

まだそのころは近くの大きいスーパーマーケットにもスポーツ用品のコーナーがあって、おやじと一緒に買いに行きました。でも買った後に、ソフトボールのキャッチャーは一般的にファーストミットを使うことを知ったんですよね(笑)。小学5年生で全国大会に行く時にはファーストミットを買ってもらったので、それまでは使っていたと思いますが、その後はどうしたか覚えていないです。

ライパチ:自分の場合は少しマイナーなんですけど、ファルコンの安いグローブでしたね。おやじとキャッチボールをするために買ってもらいました。中学で部活に入ってしばらくそれを使っていました。うちは基本的にグローブを捨てたりしていないはずなので、実家にまだあるかもしれません。

野球の楽しみ方としてのゲームの記憶

――野球には「する」「見る」に加えて「遊ぶ」という楽しみ方もあると思います。お二人は子どものころ、野球ゲームで遊んだりもしていましたか?

トクサン:ゲームもやっていましたね。野球、RPG、対戦レースゲームなどをよくやっていました。その中で一番初めにやった野球ゲームは『ファミスタ』でした。まだ選手の実名が使えなくて、「くろまて(クロマティ)」とか「かわいい(川相昌弘)」とかひらがな表記だったころのです。

バントがめちゃくちゃ難しいのと、守備の選手の足が速かった記憶があります。塁間は投げるよりも追いかけたほうが速いみたいな(笑)。たしか魔球みたいなのもありましたね。ピッチャーが投げた球が途中画面から消えて、バッターの横あたりから出てきてストライクになる球とか。あとはピノ(※架空の選手)の足の速さ! 打撃成績はすごく悪いのに凡打でも絶対に塁に出るから、絶対そんなわけないだろと思っていました。

ライパチ:その後で話しにくいんですけど……実は僕は『ファミスタ』やったことないんですよね。他の野球ゲームはやっていたのですが。トクサンとはそんなに年が離れているわけではないのですが、自分は『NINTENDO64』がメインだったので微妙にジェネレーションギャップがあるのかもしれません(笑)。

――お二人は、子どものころのプロ野球といえばどの時代が一番印象に残っていますか?

トクサン:僕の時代はヤクルトと西武の2球団が強くて、日本シリーズが楽しみでしたね。本当は巨人ファンだったんですけど(笑)。2チームとも華がありましたし、ピッチャーも三本柱がいるのが普通で、クローザーもしっかりしていました。

ライパチ:僕の時は巨人が強かったですね。松井(秀喜)、落合(博満)、清原(和博)、仁志(敏久)、清水(隆行)、外国人だと(シェーン・)マックとか、そのあたりが圧倒的な存在感を放っていました。強くはなかったですが、阪神も新庄(剛志)、藪(恵壹)といった印象的な選手が多かったように思います。

――今回の『ファミスタ』には歴代のプロ野球の外国人選手だけで構成されたチームも収録されます。

トクサン:やはり(オレステス・)デストラーデ、(ラルフ・)ブライアント、ブーマー(・ウェルズ)とかはすごかったイメージがありますね。ゲームの中でも能力が高かったと思います。『ファミスタ』って外国人選手がホームランを打つと飛距離が異常だったんですよね(笑)。ホームランになると花火が上がるのですが、そこに打球が消えていく感じで、あれはすごく気持ちよかったです。

草野球プレーヤーとして憧れの野球ゲームに収録

――そういった憧れの一流選手と一緒に今回、お二人も収録されることになりましたね!

ライパチ:ありえない話ですよね(笑)。

トクサン:ゲームの世界に自分が入るなんて一生の自慢ですよ! プロ野球選手もゲームに収録されることがプロとして認められたことを実感する要素の一つとしてあると思うのですが、そこに僕らが入ってしまうなんて……息子や孫にまで自慢します。棺桶にも入れてもらいます(笑)!

ライパチ:ありがたいことに今、ZETTさんからライパチモデルの野球道具を出していただいていて、親もそれを買ってくれているのですが、たぶん今回の『ファミスタ』は3本ぐらい買うと思います! 保存用と遊ぶ用と誰かにあげる用で(笑)。

トクサン:こうなったのもYouTubeをやっていたからで、続けてきて本当によかったと思います。

ライパチ:視聴者の人も僕らを使って一緒に楽しんでもらえたらいいですね。

――今回作品中に声でも出演しているそうですが、声優デビューの感想はいかがでしょうか?

トクサン:正直なところ、出来上がりが楽しみでもあり怖くもあります。こんな機会は一生に一度でしょうから、いい声を出したいと思いつつも、ディレクターさんの要望に応えないといけないという難しさがありました。

ライパチ:トクサン、めっちゃ「ほい!」って言ってましたね(笑)。(※トクサンが動画内の場面転換の時によく言う掛け声)

トクサン:「もう少し違う『ほい!』もらってもいいですか?」とディレクターさんに言われて、何度も繰り返しているうちにだんだん、どれが普段やっているトーンかわからなくなってきましたよ(笑)。でも、つくづく声優さんはすごいと思いました。感情の込め方、間、強弱などを求められたとおりに調節しているわけですよね。

ライパチ:僕らがこれから声の仕事がもらえるかは、今回の出来にかかってますね(笑)。

――最後に野球を愛する人たちに向けてメッセージをお願いします。

トクサン:まず、いち草野球人がゲームに収録されるということがどれだけすごいことなのかを冷静に考えてもらいたいです(笑)。そういう時代になったんですね。スポーツは本来楽しむべきものですし、人生を豊かにするものでないといけないと思います。だから野球に限らず、スポーツをやっている人たちはその楽しむ気持ちを忘れず続けてほしいです。

そしてスポーツの楽しみ方の一つとしてゲームも含まれてくると思います。ゲームの中の野球というのは自分で自由に動かせるというのが魅力だと思うので、それを多くの人に楽しんでいただきたいです。

ライパチ:プレーしかしていない人、ゲームしかやっていない人、双方がリンクして両方ともやってくれるようになったらいいですね。

トクサンとライパチの能力にも注目しつつ、野球ゲームの思い出を語り合いながら新しいファミスタを楽しんでみてはいかがだろうか。

<商品情報>
【タイトル】プロ野球 ファミスタ 2020
【発売日】2020年9月17日
【ハード】Nintendo Switch
【価格】6,680円+税
【公式サイト】
【権利表記】
一般社団法人日本野球機構承認 プロ野球フランチャイズ球場公認
日本プロ野球外国人OB選手会公認
©Japan Women’s Baseball League. ©Japan Softball Association
©Baseball Challenge League ©SHIKOKU ISLAND LEAGUE plus
©HBL ©Tokyo Big6 Baseball League ©APPARE
©トクサンTV ©2020 – SWBC Japan – クラブ軟式野球日本代表
©BANDAI NAMCO Amusement Inc.
©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
Nintendo Switchのロゴ・Nintendo Switch・Joy-Conは任天堂の商標です。© 2017 Nintendo

<了>

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PROFILE
トクサン
本名は徳田正憲。1985年3月18日生まれ、東京都出身。小学3年生の時にソフトボールを始める。帝京高校、創価大学という名門校で野球を続け大学時代にはドラフト候補に名前挙がるほど注目されていた。卒業後は一般企業に就職しながらクラブチームで野球を続けるなど、現在でも草野球へ情熱を燃やしている。2016年に始めたYouTube「トクサンTV」が大ヒットし、チャンネル登録数55万人にも上る。

ライパチ
本名は大塚卓。1987年11月20日生まれ、新潟県出身。中学から野球を始め、学生時代は野球部で補欠だったが、強豪草野球チーム・天晴-appare-の門をたたき、ライトのレギュラーを掴む。ライパチの由来は「8番・右翼手」のこと。

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