「ブラックポストマン」田中圭が明かす作品への思い――「僕と同じ思いの人が1人でも増えたらいいなと思うし、そうなるように頑張っています」

田中圭さんが、ダークヒーローな一面を持つ郵便配達人・副島力也を演じるドラマ「ブラックポストマン」(テレビ東京系)。陽気で落語好きな力也が、裏では警察や司法が手を出さない事件の被害者を救うべく、“ネバーランドの悪魔”として加害者を制裁していくさまを描きます。目の前の子どもたちを助けることで、陰謀に巻き込まれながらも見えない敵に立ち向かっていく力也ですが、その先に待っているものとは…!? その展開から目が離せません。

今回は、主演の田中圭さんを直撃取材。役柄への印象や作品への思い、大切にしている価値観や俳優としての変化について、さらにご自身のブラックな一面まで明かしてくれました!

――本作で演じられた副島力也は、田中さんからはどんな人物に見えていますか?

「力也は、いい人に見えるのですが、元々暴力性が高い過去描写があって、何かを経てそれが消えたのか、隠して封印しているのかが分からないんです。なので最初は、その部分をどこまで忠実に守りながら演じたらいいのかを気にしながら撮影していました。今の時代、知らない人とは積極的には関わらないようにする風潮が強い中で、力也はおせっかいな一面もあるので、関わらないようにしようと思いつつも、子どものSOSをキャッチしてどうにかしたくなっちゃう人だなと。でも、力也がやっていることは、その子にとって本当に必要なことだったのかと自分自身も葛藤しながら動いているように見えます。“ネバーランドの悪魔”の存在意義を問われ続けながらも、最終的にはやっぱり放っておけないのだけど、力也自身も自分の思いが分からないまま動いているんじゃないかな。その気持ちに添って演じてみたら、意外とローテンションの人になりました(笑)。本人的には明るく生きているつもりですが、視聴者の皆さんはどう感じられるのか、気になりますね」

――力也という人物について、視聴者の皆さんがそれぞれ感じて受け取ってほしいと。

「僕としては、いい人にしているつもりもなければ、正義として演じているわけでもないです。皆さんがどう受け取るかは分からないですが、彼みたいな人がいなくていいのかというと、そんなふうには思わない…という感じです」

――田中さんご自身も試行錯誤しながら演じられているんですね。

「そうですね。“こうなってほしいな”という願望はありますが、僕が考えたとしても伝わらないこともあるし、逆に考えなくても伝わることもあるので。そこはフラットに考えるようにしています」

――「ブラックポストマン」は、田中さんにとってどんな存在の作品ですか?

「どの作品に出演させていただいても、毎回自分がめちゃくちゃ好きな作品になればいいなと思っています。僕と同じ思いの人が1人でも増えたらいいなと思うし、そうなるように頑張っています。作品ならではの魅力は、サスペンスなので、犯人が誰なのか、どうやって事件を解決するのかという部分を楽しんでいただきたいです。あとは、力也が決して純粋な正義の味方ではないという部分も見どころかな。一方では誰かを救っていても、一方では余計なことをしているかもしれないというところが、うまく表現できればいいなと思います」

――すてきなお話をありがとうございます! ドラマからは少し離れますが、田中さんが日々過ごされる上で大事にされている考え方や、座右の銘があれば教えてください。

「“適当”ですね。あまりいい意味では使わないですが、本来の意味として適度に当てるということを大事にしています。自分が最低限譲れないところだけしっかり押さえていれば、あとは柔軟でいいんじゃないかな。仕事でもプライベートでも楽しく行こう!と思っています」

――「ブラックポストマン」の撮影現場でも、楽しく過ごせるように意識されているんですか?

「自分の楽しさを押し付けるわけではないのですが、やっぱり自分も楽しみたいし、周りの人にはもっと楽しんでほしいというのはあるかもしれません。だけど、基本的には自分がやりたいようにやらせていただいているので、みんな、おのおのがやりたいように過ごしてくれていたらと思っています(笑)。ちなみに今回の現場は、それぞれマイペースで、とてもいい雰囲気で撮影できていると思います!」

――楽しそうな雰囲気が伝わってきます。田中さんは、俳優としてデビューされて今年で23年目ということで、昔と比べて演じることに対して変化はありましたか?

「どこが変わったのかは分からないですが、絶対に全然違うと思います。ちょっとずつ変化している感じかな。主演をさせていただく時と、2番手や3番手で出演させていただく時、ゲストとして出演させていただく時でも感覚が違ったりします。『おっさんずラブ』シリーズ(テレビ朝日系)でいろんなことが大きく変化したような気もしますが、劇的に感覚が変わったということはないです。僕としてはずっと同じつもりでいますが、それでも、日々の撮影やさまざまな経験を経て、いまだに変わりますし、2年後、3年後もまた違うかもしれないですね」

――今後の演技も楽しみにしています! それでは最後に、ドラマのタイトルにちなみ、ご自身の「ブラックだな」と感じる一面があれば教えてください(笑)。

「友人が韓国旅行から帰ってきた時に、お土産を渡したいからと、わざわざ家まで来てくれたんです。お土産がフィナンシェだったので、『なんで韓国のりじゃないんだよ!?』とツッコミまくりました(笑)。彼は『韓国のりは日本でも買えるじゃん』と言っていました。もちろん皆でおいしくいただいたんですけど、せっかくお土産を渡しにきてくれたのに思わずツッコミました(笑)」

【プロフィール】

田中圭(たなか けい)
1984年7月10日生まれ。東京都出身。「おっさんずラブ」シリーズ(テレビ朝日系)、「あなたの番です」シリーズ(日本テレビ系)、「ナイト・ドクター」(フジテレビ系)、ドラマ「らせんの迷宮〜DNA科学捜査〜」(テレビ東京系)、映画「ハウ」「月の満ち欠け」、舞台「もしも命が描けたら」「夏の砂の上」などの話題作に出演し、多方面で活躍している。また、映画「Gメン」が現在公開中のほか、「連続ドラマW OZU〜小津安二郎が描いた物語〜」第1話「出来ごころ」(WOWOW)が11月に放送予定。

【番組情報】

ドラマ8「ブラックポストマン」
テレビ東京系
金曜 午後8:00~8:54

取材・文/鬼木優華(テレビ東京担当) 撮影/尾崎篤志

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