「けた違いの金額で入札」 同業者が語るホーユーの食事提供停止問題 

学校の寮や食堂などへの食事の提供を、運営会社「ホーユー」が停止した事態の背景に何があったのか。業界の実態と「ホーユー」について、同業者が語りました。

■食堂運営会社の元社長

「値上げ交渉に何回か行くが、すぐには決まらない。施設側が納得しない限りは値上げができない」

業界の苦しい内情を語るのは、県内で食堂などの運営会社を経営していた男性です。「公立学校との契約は、特に負担が大きい」といいます。

■食堂運営会社の元社長

「年間予算が決まっている公立の場合は。イレギュラーでの値上げはなかなかできない。基本的には公立高校の仕事を受けない。お断りする」

男性の会社はコロナ禍などで経営が悪化。2023年、業界から退きました。

広島市中区のホーユーが、運営していた全国の学校の食堂などで食事の提供を突然停止したのは9月1日でした。そして、自己破産申請の準備を進めています。

県内では公立高校7校の寮や食堂で食事の提供が停止。学校の関係者らが対応に追われています。

ホーユーの山浦芳樹社長は、5年ほど前から発注元と値上げ交渉してきたものの「対応してもらえないケースがあった」と、経営の厳しさを語りました。

一方、ホーユーが極端な低価格で契約していた実態も見えてきました。県立高校4校との2022年4月から3年間の契約では、3つの業者が入札に参加。ホーユーが1800万円で落札しましたが、ほかと比べると入札価格の低さは明らかです。

■食堂運営会社の元社長

「ホーユーさんと一緒になった時は、けた違いの金額で入札していた。かなり安い。これで本当にできるのかと」

県立高校4校との契約について、県教委は「学校が経費の内容などを調査したのち、問題ないと判断して契約した」としています。

■日本給食経営管理学会(龍谷大学農学部教授)朝見祐也 広報部長

「安い金額で仕事を受けることは、質の悪い食品を使ったり、安全安心をおろそかにすることにつながる。学校給食なら保護者など食材料費を支払う人たちにも理解を得る必要がある」

取材に応じた元経営者の男性は「行政には入札ではなく、プレゼンテーションで業者を決めてほしい」と、過度な価格競争に警鐘を鳴らします。学校での安全な「食」を維持するためにも、発注側の理解も求められています。

【2023年9月8日放送】

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