犬にとって苦痛な『お手入れの仕方』4つ!間違ったブラッシングや歯磨きはストレスを与えることに

1.お手入れの時間が長い

犬にとってブラッシングや歯磨き、耳掃除などのお手入れは基本的に楽しいものではないでしょう。どちらかといえば好まない犬が多いため、お手入れの時間が長くなるとストレスや苦痛を感じるようになってしまうことがあります。

飼い主さんとしては、「きちんときれいになるまでしっかりやりたい」「きりのいいところまで終わらせたい」と思うと思いますが、犬がお手入れを喜んで受け入れていない場合は、犬の反応に合わせて時間を決めるようにしてください。

飼い主さんの気持ちよりも「犬が嫌がる前に終わらせる」ということを心がけてください。

犬が「もうやだ!」「いい加減終わりにして!」と嫌がる様子を見せたタイミングで終わらせると、お手入れのときは嫌がることで終わりにしてもらえると学習してしまいます。

犬が嫌がる様子を見せる前に終わらせることで、次のお手入れもスムーズにできるので、意識してみてください。

2.お手入れの頻度が多い

ブラッシングや歯磨きは毎日こまめにおこなうことが必要だとされていますが、お手入れの内容によっては頻度が多すぎることで犬の体に負担をかけてしまうことがあると覚えておきましょう。

室内で生活をさせることで、犬の体の汚れが気になって頻繁にシャンプーをしたり、排泄のたびにお尻や陰部をゴシゴシ拭いたりする飼い主さんもいるでしょう。

しかし、シャンプーは皮膚疾患の治療などのために獣医師からの指示がない限りは、3〜4週間に1回程度にしておきましょう。頻繁に洗いすぎると、皮膚を守るために必要な皮脂も洗い流してしまうため、皮膚トラブルを引き起こすことがあります。

また、お尻などデリケートな部分は何度も拭いていると、ダメージを与えてしまい痛みや炎症が発生してしまいます。よほど汚れていない限りは必要以上のケアは控え、ケアする場合も優しく拭き取るようにしてください。

3.人間と同じ感覚でお手入れする

犬の体は人間の体とはつくりが異なります。そのため、人間にとって心地良い力加減や温度であっても、犬には負担がかかってしまうことがあります。

ブラッシングのときに力加減が強すぎると、被毛が引っ張られたり切れたりするだけでなく、当たりが強いと皮膚に傷ができてしまうこともあります。歯ブラシも同様で、力が強いと歯の表面や歯ぐきを傷つけてしまうので気をつけましょう。

また、シャンプーのときに使うお湯の温度にも注意が必要です。皮膚の薄い犬は、人間が気持ちいいと感じるお湯の温度でも熱く感じてしまうことがあります。季節にもよりますが、お湯の温度は37~38℃程度にしておきましょう。

さらに、ドライヤーの温風も火傷をさせてしまう可能性があるので、遠い距離から風を当てるようにしたり冷たい風と交互に使用したりと、配慮するようにしてください。

4.嫌がっていても強引にお手入れをする

当然のことではありますが、犬が嫌がっている場合に無理やり押さえつけてお手入れを進めるのはやめましょう。嫌がるからとお手入れをしないのではなく、少しずつ受け入れられるように短時間から慣らす練習をすることが大切です。

歯磨きをする場合、はじめは1本しか磨けなくてもOKです。次の日は2本、その次の日は3本、と根気よく練習をしていってください。重要なのは、「犬が嫌がる前に終わらせること」と「お手入れのあとはたっぷりほめてあげること」です。

まとめ

犬の体のお手入れをすることは、健康を守るためにとても大切なことです。また、犬がお手入れをストレスなく受け入れられるようになっていれば、飼い主さんとのスキンシップの時間にもなるでしょう。

しかし、ここで紹介したようなお手入れの仕方では、犬にとってストレスや苦痛を与えてしまうことがあるので気をつけてください。

愛犬の反応を確認しながら、負担にならないお手入れをしてあげましょう。

(獣医師監修:寺脇寛子)

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