WEC富士6連覇へ向けトヨタが初日トップタイムを記録。セバスチャン・ブエミ「実りある金曜日だった」

 9月8日(金)、静岡県の富士スピードウェイでFIA世界耐久選手権(WEC)第6戦富士6時間の公式練習が開始され、TOYOTA GAZOO Racing(TGR)にとってホームコースである富士でのレースが開幕。2回目のセッションではTOYOTA GAZOO Racing(TGR)の8号車トヨタGR010ハイブリッド(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮組)がトップタイムを記録した。

 午前11時からの公式練習第1回目はウエットコンディションながら予定通りに実施。続く午後の公式練習第2回目は、日差しものぞくほどに天候が回復し、完全なドライコンディションで予選、決勝へ向けた本格的な走行が行われた。

 昨夜から続く雨によりウエットコンディションとなったが、チームはこの時間も無駄にすることなく、7号車はロペス、8号車はブエミがウェットタイヤを装着した車両セットアッププログラムとシステムチェックを行う。

 セッション終盤に雨が弱まったことで路面コンディションが徐々に良くなっていき、最後の数分で各車はこのセッションでのベストタイムをマーク。7号車はコンウェイ、8号車はハートレーのタイムによりこのセッションは6番手、7番手となった。

 公式練習第1回目の後、第2回目までの3時間のインターバルの間に天候が回復し、コース路面はほぼドライへ。15時半からの公式練習第2回目が開始されるとともに、7号車は小林、8号車はブエミがステリングを握り、スリックタイヤでコースインする。

 この90分間のセッションは、2台のGR010 HYBRIDの車両パフォーマンス比較やミディアム及びハードタイヤの摩耗に関する確認など、様々なセットアップを試す忙しい時間となった。

 ドライバーズチャンピオン争いで首位に付けるセバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、平川亮のGR010 HYBRID 8号車は、2回目のセッションでこの日最速となる1分29秒523をマーク。前戦モンツァを制した小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペスのGR010 HYBRID 7号車が0.597秒差の2番手につけた。

 現在TGRは、マニュファクチャラータイトル争いで、2位のフェラーリに26ポイント差をつけてリードしており、この富士ラウンドを終えた時点でさらに13ポイント差を拡げることができれば、最終戦を待たずしてマニュファクチャラーズチャンピオンを決めることができる。

 現行WECでは、富士スピードウェイでこれまでに9戦が開催され、うち8戦を制しているTGRは、富士での9勝目及び6連覇を目指すとともに、リードするチャンピオン争いでよりその位置を固めることを目指す。

 明日は15時半からハイパーカークラスの予選が行われ、TGRは今季4度目のポールポジション獲得を目指す。決勝レースは10日(日)の午前11時から6時間にわたって行われる予定だ。

FP2で最速タイムを記録した8号車トヨタGR010ハイブリッド

■ドライバーコメント

●小林可夢偉(チーム代表/7号車トヨタGR010ハイブリッド)

「日本に戻ってきて母国ファンの皆様や多くのトヨタ関係者の前でドライブできることをとても嬉しく思います」

「今日は路面コンディションが大きく変わりました。ウエットコンディションではまだやるべきことがありますが、ドライコンディションではとても好調です。まだクルマのバランス面で幾つか調整すべき点はありますが、多くの周回をこなせて良かったです」

「ここ富士では、決勝レース中のコース路面の変化が大きな要因になります。大雨で洗い流された路面が、この後多くの車両が周回を重ねていくことで変わっていくので、それにあわせた車両セットアップをしておく必要があります。まだイベントは始まったばかりですし、プッシュを続けて行きます」

●マイク・コンウェイ(7号車トヨタGR010ハイブリッド)

「ここ富士ではまだこの先も、いつ雨が降るかわからないから、ウエットコンディションでどのような挙動を示すかを経験できたのは良かった」

「ドライコンディションでのクルマのバランスは悪くないが、まだ細かい調整を試し、可能な限りパフォーマンスを引き出したい。今夜も作業を続けるが、まずは順当なポジションにつけられたと思うし、この勢いで前向きに進めていくのみだ」

●ホセ-マリア・ロペス(7号車トヨタGR010ハイブリッド)

「今日は順調な一日になった。ウエットコンディションで走れたことは、さらに雨が降ったときのクルマへの理解を深める手助けになるし、さらにその後はドライで順調に周回を重ねることができた」

「最初の各車のパフォーマンスレベルは確認できたと思うが、まだドライでは1時間半しか走っていないことに加え、コース路面はこれからさらに変わっていくので、まだまだわからない。ここはブレーキやタイヤを含め、クルマに厳しいコースでもあるから、全てをどう最適化するかがポイントになると思うよ」

7号車トヨタGR010ハイブリッド(トヨタ・ガズー・レーシング) 2023年WEC第6戦富士6時間レース

●セバスチャン・ブエミ(8号車トヨタGR010ハイブリッド)

「今日は、ウエットとドライの両方を経験して比較することができたので、天候的には予想していた以上にラッキーだった。両セッションともに順調で、片方が完全なウェット、もう片方は完全なドライで走ることができた」

「実りある金曜日だったと思うよ。多くのデータを収集できたし、我々の競争力も高そうなことが分かった。これからは明日に向けた改良が大事になってくるし、決勝レースではタイヤ摩耗が非常に重要な要素となるはずだから、それをコントロールできるよう作業を続けていくよ」

●ブレンドン・ハートレー(8号車トヨタGR010ハイブリッド)

「トラブルなく進んだ一日だったね。ドライの公式練習第2回目を1-2で終えられたというのは好結果だけど、タイムは非常に拮抗している。また、ウエットコンディションでの我々は、ライバルに対しあまり良いペースとは言えなかったから、残りのレースウィークはドライのまま進んでくれることを願っているよ」

「全体的に見ればとても良いスタートが切れたと思う。我々は2台で異なる車両セットアップをテストし、異なるタイヤコンパウンドを試すなど、多くのデータを得ることができたし、金曜日としては完璧な一日だった」

●平川亮(8号車トヨタGR010ハイブリッド)

「走行初日としてはとても満足しています。午前中は天候に恵まれませんでしたが、それでも富士で走れるのは毎回嬉しく思います。公式練習第1回目は、降雨により最初は濡れていた路面が徐々に乾いていくという、とても変わりやすく、トリッキーなコンディションでした」

「午後の公式練習2回目は完全なドライとなり、チームが1-2で終えられ良いスタートが切れたと思います。予選と決勝でも同じ結果が達成できることを祈っています。今日は良いスタートとなりましたし、この勢いのままプッシュを続けます」

8号車トヨタGR010ハイブリッド(トヨタ・ガズー・レーシング) 2023年WEC第6戦富士6時間レース

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