【台風13号】北茨城・大北川、高萩・関根川で越水 茨城県内に線状降水帯

のり面が崩れ、ふさがれた市道=8日午後4時20分ごろ、潮来市大生

台風13号の影響で茨城県内は8日、各地で激しい雨に見舞われ、沿岸市町村を中心に線状降水帯が発生。水戸や日立などで1時間に100ミリの猛烈な雨が降った。同日夜に入って北茨城市の大北川、高萩市の関根川が越水した。高萩市は同日午後8時1分、北茨城市は同8時40分、それぞれ市内全域に、最も警戒レベルが高い「緊急安全確保」を発令した。鉄道各線は運転を見合わせたほか、潮来市では道路のり面が崩落。道路冠水も各地で相次ぎ、一部地域で床下浸水が発生した。

■日立市雨量255.0ミリ
水戸地方気象台によると、同日午後8時までの24時間雨量(速報値)は、日立市が9月の観測史上最大となる255.0ミリ、鉾田市216.0ミリ、北茨城市177.5ミリ、鹿嶋市161.5ミリだった。

県によると、北茨城市磯原地区の大北川で午後8時35分ごろ、計画高水位(5.0メートル)を超え越水。高萩市高戸の関根川でも同8時ごろに計画高水位(4メートル)を超えて越水した。

JR常磐線は同日夕以降、勝田-いわき駅間で終日運転を取りやめた。水戸線は午後4時から同8時ごろまで下館-友部駅間で運休。水郡線も同5時から水戸-郡山駅間と上菅谷-常陸太田駅間で運転を取りやめた。鹿島臨海鉄道は同日午後、大洗-鹿島神宮駅間で一時運転を見合わせ、午後8時46分に再開した。

JR常磐線と水戸線のターミナルとなっている友部駅では午後5時過ぎ、ダイヤの乱れや運行中止について駅員に問い合わせたり、家族に電話で連絡を取ったりする姿が見られた。

水戸線で福原駅まで帰る途中の女性(20)は「きょうはもう友部(駅)から先に行かないというので、親に連絡し、迎えに来てもらうことにした」とスマホを手に話した。

■16市町に避難指示

県によると、午後6時半現在、冠水に伴う交通規制は10カ所。日立市留町の国道293号をはじめ、境町長井戸や稲敷市江戸崎甲の県道などがそれぞれ全面通行止めになった。日本道路交通情報センターによると、同日正午までに県内全ての高速道路で最高速度が時速50キロに制限された。

県教委によると、県内の公立小中学校は同日、計71校が臨時休校となった。

警戒レベル4の避難指示を発令したのは、龍ケ崎市や神栖市など16市町で、対象は14万3千人超。警戒レベル3の高齢者等避難は8市町村、計約16万7500人に上った。

鹿嶋市の大野公民館に避難した女性(75)は「命を守るため、外が明るいうちに避難してきた。早く雨が弱まってほしい」と不安そうに外を見つめた。

■鉾田で浸水被害

6月初めの大雨で市内の双葉地区が浸水被害を受けた取手市は、台風13号に備え、同地区を含めた市内全域で見回りを強化するなど警戒を強化した。

潮来市大生では、民家庭先ののり面が約10メートルにわたって崩落し、市道をふさいだ。民家に住む60代男性は「(ずっと雨が強かったため)崩れたことには気付かなかった」と話した。

鉾田市内では、中心市街地を流れる鉾田川周辺で雨水の排水が追い付かず、浸水被害が発生。浸水被害に遭った同市鉾田のクリーニング店「白栄舎」店主の岡里剛治さん(58)は「今回の方がひどい。短時間に降ったので対応のしようがなかった」と話した。

冠水した道路を水しぶきを上げて走る車=8日午後5時14分、水戸市吉沢町

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