RX2eランキング3位獲得のコチュリンスキー「今後もラリークロスに挑戦し続けたい」

 ワンメイク電動SUVによるオフロード選手権、エクストリームEでの活動と並行し、今季はWorldRX世界ラリークロス選手権のステップアップラダーであるFIA RX2e選手権にも挑戦したミカエラ-アーリン・コチュリンスキーは、タイトル争いの末に自身が「望外」と語るドライバーズランキング3位を獲得した戦果も受け、引き続き「ラリークロスに挑戦し続けたい」との希望を語った。

 また、今季は火災事故の影響で最高峰クラス“RX1e”の開催休止が続くシリーズにあって、南アフリカのケープタウン、そして初開催の最終戦香港と電動ワンメイク車両の『ZEROID X1』を代替使用する案を決定したことに関し、各チーム首脳陣も「多大な努力だった」と運営側の判断に理解を示している。

 キャリアを通じてゲスト参戦による散発的な経験しかなかったラリークロスに飛び込み、今季RX2eの開幕3戦に出場するプログラムで挑んだコチュリンスキーは、その初戦ノルウェーでいきなりの3位表彰台を獲得。その後も安定したリザルトでタイトル戦線に加わると、急きょプログラム延長戦として挑んだドイツ・エスターリンクのファイナルでは、アイザック・シェクヴィスト(#YellowSquad)や同僚のニルス・アンダーソン(チームE/クリストファーソン・モータースポーツ)とチャンピオン争いを繰り広げた末に選手権3位を得た。

 その彼女は今季開幕前の出来事を振り返るとともに「シリーズを3位でフィニッシュするということは、競技に対する私の個人的な期待を間違いなく上回った」と評価する。

「ニルス(・アンダーソン)と私が初めてこのプロジェクトについて座って話し合ったとき、私は彼にこう言ったのを覚えている。『RX2eの初年度に、たった一度でも表彰台に上がることができれば幸せだ』って。だから最初のラウンドは最高に素晴らしかった(笑)」と続けた30歳のコチュリンスキー。

「開幕後はまだ少しスピードが足りないと感じていたけど、ベルギーに着く頃には目標どおりトップドライバーとの差を縮めることができたと実感していた」

「当然のことながら(クラッシュでファイナル進出を逃した)ドイツでの展開にはガッカリしたわ。でも、たとえ最終的には思いどおりにならなかったとしても、私たちチームEにとっては素晴らしい結果だった。ニルスには本当におめでとうを言いたいし、彼は素晴らしいチームメイトでチャンピオンにふさわしい選手よ」

 その最終戦ドイツでは、スピードを披露しながらスタートでの一瞬の判断が敗退に繋がったと分析しているが、何度も過去の映像を見返して準備した彼女としても「最終的にすべては一瞬の決断に帰着する」とし、チームとの仕事やサポートにも感謝の言葉を残した。

当初は開幕3戦の限定的なプログラムだったが、最終戦にはタイトル候補として挑むことに
「ドイツのセミファイナルでは、正直スタートで2番手か3番手には出られると思っていた」という彼女だが、ライバルに弾かれウォールに沈む

■解決策をまとめあげた関係者の努力を称賛

「ドイツでヨハン(・クリストファーソン)をスポッターとして迎えられたことも本当に光栄だった。エクストリームEで一緒にレースをして以来、私たちはお互いのことをよく知るようになり、その彼が素晴らしい仕事をしてくれた」と続けたロズベルグXレーシング(RXR)所属のコチュリンスキー。

「いつか彼をまたスポッターとして迎えられたら最高だけど、それには彼は少し忙しすぎるかもしれないわね(笑)」

「全体的に今季は本当に楽しかったから、ぜひ続けていきたいと思っている。細かい部分やちょっとしたコツなど、まだまだ学ぶことがたくさんあり、2024年に向けてあらゆる選択肢にオープンでいたい。確かなことは、私はラリークロスに残りたいということね」

 一方、10月7~8日開催で4年ぶりのシリーズ復帰となる南アフリカのキラーニーに向けて、最高峰クラスでハンセン・ワールドラリークロス・チームを運営するケネス・ハンセン代表は「ふたたび世界選手権が再開できることに本当に興奮している」と、ワンメイク車両へのダウングレードを強いられた舞台裏での奮闘に理解を示すとともに「今季の継続は不可能と思われたなか、プロモーター、FIA、チームなど関係者全員が解決策をまとめるのは大変な努力だったはずだ」と称賛の言葉を残した。

「これは大きな成果であり、シーズンを完走することができれば非常に重要な達成で、残るふたつのイベントで全員がRX2e車両を使用することは素晴らしいことだ」と続けたティミー&ケビン、ハンセン兄弟の父でもある14回の欧州ラリークロス・チャンピオン。

「これにより、2024年以降に向けて準備するためのより多くの時間を稼ぐことができ、もちろんその中でチームとしても成長を続けていける。我々もラリークロスをエキサイティングな未来に前進させることに全力を注いでいくつもりだからね」

 同じく、ニクラス・グロンホルムとクララ・アンダーソンを擁して参戦するCEディーラーチーム・バイ・ボルボ・コンストラクション・イクイップメントのユッシ・ピノマキは、チームマネージャーの立場から前戦ドイツで両ドライバーが『ZEROID X1』を経験できたことは「良いことだった」と続ける。

「何よりコースに戻ってふたたびレースができて良かったし、両車を決勝に進出させるという目標を達成できた。すべてのパートナーとゲストの前で素晴らしいショーを見せられたと思っているよ」とピノマキ。

「もちろん、我々としてもRX1e車両で戻ってきたいと思っていたが、ケープタウンと香港では同じく電動モデルのZEROID X1を使って、持続可能なモータースポーツの限界を押し広げ続けることを楽しみにしている」

「2024年に向けてあらゆる選択肢にオープンでいたい。確かなことは、私はラリークロスに残りたいということね」とコチュリンスキー
Hansen World RX Teamのティミー&ケビン兄弟も、すでにRX2e用の『ZEROID X1』を経験済みだ

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