電動車いすに “眼” を搭載 東工大発ベンチャー、ステレオカメラの実証実験

三角コーンを避けて車椅子が自立走行する様子を見つめる実吉会長(右から2人目)ら=横浜市緑区の玄海田公園

 東京工業大学発のベンチャー「ITD Lab」(横浜市緑区、11人)は、同区の玄海田公園で、移動ロボットなどの“眼”となるステレオカメラの実証実験に取り組んでいる。電動車いすに全方位監視可能なステレオカメラを搭載。障害物などを避けながら自律走行するもので、将来的にはドローンや船舶など、さまざまなモビリティー(移動手段)への応用も視野に入れている。

 元東工大准教授の実吉敬二会長(71)は自動車メーカー・スバルの安全運転支援システム「アイサイト」の発明者として知られる。その実績から2016年の起業の際には、わずか2年で資本金6億円超を調達したという。

 自身は東工大の研究者から1988年にスバルの研究所に転身、10年間勤務した後は大学に戻り、退官の年にベンチャーを立ち上げた。

 8月31日に行われた実証実験では、電動車いす「WHILL」に360度監視可能なステレオカメラを搭載し、公園内の長さ50メートルのコースを時速2~3キロで走行した。ステレオカメラ2台に鏡を組み合わせた“眼”が、周辺情報を収集し、障害物などの大きさや距離を算出。あらかじめ蓄積した地図情報と付き合わせて自分の位置を割り出し、自律走行した。コース上に置かれた三角コーンとの衝突を見事回避、カーブを曲がり、折り返しにも成功していた。

© 株式会社神奈川新聞社