漫画家和田邦坊に弟子発見 地元・香川の学芸員が調査

時事漫画家の和田邦坊(右)と弟子の邦輔(灸まん美術館提供)

 「どうだ明(る)くなったろう」。100円札を燃やす成り金を描いた時事漫画で有名な和田邦坊(1899~1992年)に知られざる弟子がいたことが、邦坊の地元、香川県の灸まん美術館(善通寺市)の調査で明らかになった。定説では弟子はいないとされていた。弟子は「邦輔」を名乗って漫画家を目指しながら、書生として邦坊を支えていたとみられる。

 邦坊は戦前に映画化もされ大ヒットした小説「ウチの女房にゃ髭がある」の執筆でも知られる。戦後は香川県で物産品の包装デザインを大量に手がけ、県民から「香川をデザインした男」として親しまれている。

 今春、邦輔の遺族が同館を訪れ、遺品を寄付。西谷美紀学芸員が調べると、邦坊が描いた邦輔の似顔絵や写真、年賀状などで、初めて2人の深い関係が浮かび上がった。

 美術館によると、邦輔は1910年、秋田県生まれ。すでに時事漫画家として名声を得ていた邦坊に10代で弟子入りし、東京都の邦坊の家にほぼ住み込みで暮らした。

 美術館では特別展「邦坊青春グラフィティーepisode3」を開催中。

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