「今年は特にひどい」嘆く農家 「嶽きみ」1万本、クマ食い荒らす 青森・弘前市のブランドトウモロコシ

かみ跡のついたトウモロコシを手に被害状況を説明する野沢さん。「クマは食べ頃を分かってやって来る」と語る

 青森県弘前市嶽(だけ)地区のブランドトウモロコシ「嶽きみ」が、クマに食い荒らされる被害が多発している。8月初めに始まった収穫期が最終盤を迎える中、同地区の農家・野沢和幸さん(69)の園地では、毎日のようにクマが畑を食い荒らし、被害はこの夏推定で1万本を超えた。「毎年被害はあるが、今年は特にひどい」と嘆いている。

 8日、野沢さんの畑の一部では、茎がなぎ倒され、かみ跡のついた収穫間際のトウモロコシの芯が散らばっていた。獣よけの電気柵で畑の周囲を囲んでいるが、柵付近の地面の所々に掘り返された跡がある。クマはそこをくぐって畑に入り込んでいるとみられる。

 「朝採り」を消費者に届けるため、収穫は毎日午前2時ごろから始まる。収穫中にクマの気配を近くに感じることも日常茶飯事で「クマが『自分の畑だ』という顔で歩いている。従業員に危害が及ぶのが一番怖い」と話す。

 周辺では約20軒の農家が250ヘクタールほどの畑で嶽きみを生産している。それぞれ電気柵や、威嚇の花火などで対策をしているが、同様の被害が出ている農家が多いという。

 野沢さんは「昨年の大雨に続いて、今年は猛暑にクマ。追い打ちの追い打ちという状況。こんなふうに減収が続けば、やめたくなる人が出てもおかしくない」と語った。

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