調子の良いうちに…中島啓太がウェッジ以下を総取っ替え

17番パー3で打球の行方を見守る(撮影/服部謙二郎)

◇日韓亜男子共催◇シンハンドンヘオープン 2日目(8日)◇クラブ72CC・オーシャンコース(韓国)◇7204yd(パー72)

予選通過圏外の71位から「67」をマークし、通算6アンダーの23位で決勝ラウンドに進んだ中島啓太。実はここ数週間でクラブ14本のうち、下の番手5本を総取っ替えしていた。

2週前「Sansan KBCオーガスタ」の開幕前に46、50、54、60度のウェッジ4本を、テーラーメイド社の「MG(ミルドグラインド)3」から「MG4」へ。パターも先週の「フジサンケイクラシック」で、同社の「TPリザーブ」ピン型(B11)からツノ型(M21)に替えた。ドライバーやアイアンを替えるほどの大きな変化ではないが、スコアのベースを作るショートゲームを操るパートをシーズン中盤で変更したことに正直驚かされた。

MG4はタイガーグラインド(撮影/服部謙二郎)

クラブを替えるタイミングは非常に難しいが、プロが揃って口にするのは「調子のいいときに」である。スイングが悪い時に試打をしても、純粋なクラブ評価につながらない可能性があるためだ。賞金ランキング2位と好調な中島は、まさに“そのタイミング”で踏み切った。

メーカーとクラブ契約を結ぶ選手が、当該メーカーの新商品を使って調子を崩すケースをこれまで何度も見てきた。だから最近、クラブ契約フリーの選手が増えてきたのは事実だ。メーカーと契約選手が互いにハッピーになる最も望ましい関係という意味では、今回の中島のようなケースは理想的だろう。

17番のバーディトライは決まらず(撮影/服部謙二郎)

ウェッジを替えた理由を中島は「食いつき、スピン量がかなり良くなった」と語り、試合でもその効果を感じているようだ。最初にMG4を試打したときは、46度と50度だけ交換するつもりだったが、54度と60度もロフト、ライ角の調整が上手くいき、4本ともチェンジした。パターについては「マレットなのに小ぶりでストロークしやすい。(投入した)先週は最終日の最終ホールこそ3パットしましたが、それ以外は距離感も合っていた。前のモデルよりも、やさしくていいですね」。マレット型にしたことで「Sansan KBCオーガスタ」開催コース・芥屋GCの高麗グリーンでついた悪いイメージを払拭できたという。

TPリザーブM21パター。シャフトはフルーテッドシャフト(撮影/服部謙二郎)

中島がツノ型パターを使うのは珍しい。テーラーメイドのクラブ担当者は「中島プロから“マレットのヘッドを打ってみたい”という打診があってM21を作りました。またピン型に戻るかもしれませんが、イメージをガラッと変えたいという彼の希望に合っていたのでは、と思います。グリップもシャフトも彼専用に替えて、見た目も好みの顔になっています」と、その背景を説明する。M21は少しつかまり良く見えるような仕上げ。日本未発売モデルで、クランクネックの仕様となっている(トラスネックではない)。

初日の出遅れを2日目に取り返し、上位を狙える位置につけた中島。トップ10には海外勢が並ぶが、新しい武器で日本トップ選手としての意地を見せてほしい。(韓国・仁川/服部謙二郎)

新しいMG4の60度(撮影/服部謙二郎)

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