32校で不備151件…久喜の小中学校、防火設備に不具合 3月までの法定点検分、閉鎖作動しない防火扉も

久喜市役所=埼玉県久喜市下早見

 公共施設の不備が問題となっている埼玉県久喜市の小中学校で、火災が起きた場合に作動する防火扉や防火シャッター、感知器などの防火設備について法定点検による不具合が計151件指摘されていたことが明らかになった。8日の市議会一般質問で、貴志信智議員(無所属)の質問に久喜市が回答した。

 市教育総務課によると、同市内32小中学校で、今年3月までに行われた法定点検で是正箇所の指摘があった。建築基準法第12条に基づく点検で防火扉77件、防火シャッター18件、消防法第17条の点検で感知器不作動など56件の是正箇所が見つかった。防火シャッターや扉を作動する「連動機構」についても是正箇所が指摘されている。同市は消火器の交換19件を除き、多くの箇所で対応していない。

 改善されていない設備の中には防火扉が閉鎖作動しない、防火シャッターの起動不良など 重大な事故を引き起こす可能性が指摘されていたものもあった。

 県内では1998年、旧浦和市(現さいたま市)の小学校で、男子児童が誤作動で閉まった防火シャッターに挟まれ死亡する事故が発生。同市学校施設管理課は、再発防止を踏まえ「校数が多く毎年点検により不具合が報告されており、その都度対応している」としている。

 同市内では学校で外壁コンクリート片が落下するなど、施設の老朽化が課題になっている。今定例会でも修繕費用(1337万円)が補正予算として計上されていた。同市は「(学校施設は)経年による劣化が進行している。法定点検の指摘事項の早期是正に努めたい」としている。

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