高齢者に響け! コミュニティーバス車内で特殊詐欺防止アナウンス “孫世代”女児の声で呼びかけ 明石

感謝状を手にする上村愛珠さん=明石市松が丘3

 多発する特殊詐欺事件の被害を防ごうと、兵庫県明石市のコミュニティーバス「たこバス」車内で、松が丘小学校6年、上村愛珠(あんじゅ)さん(11)が注意を呼びかけるアナウンスが流されている。上村さんは「詐欺の被害に遭う人や、詐欺をする悪い人がいなくなればいいなと思いを込めた」と話す。(領五菜月)

 明石署が協力を依頼した。放送委員会に所属する上村さんが担当することになり、同署が準備した原稿を読み上げた。

 アナウンスは架空請求詐欺と還付金詐欺の2種類。江井ケ島ルートなど4路線の起点と終点で流れる。「コンビニで電子マネーを買ってきてと言われます、それは詐欺」「ATMで医療費や税金の還付金は受け取れません」と元気な声で訴える。

 上村さんは、聞き取りやすいアナウンスを録音するため1週間ほど家で練習を重ねたという。そのかいあって録音本番は1回で成功。8月には明石署長から感謝状が贈られた。上村さんは「いろんな詐欺があるから、お年寄りだけじゃなくアナウンスを聞いた全員が気をつけてほしい」と話している。

 同署によると、市内で今年1~8月末までの特殊詐欺被害件数は50件で、昨年同時期に比べて5件増えた。同署では、アポ電(詐欺の予兆電話)の通報があった地域を、パトカーで注意を呼びかけながら巡回するなどの活動をしているが、被害は後を絶たない。

 被害の中でも、パソコンのウイルス感染やサイトの料金未納などをうたい、電子マネーカードを要求する架空請求詐欺が多いという。電子マネーカードによる詐欺は1回ずつが少額でも、何度も要求されることで気がついたら高額をだまし取られていたというケースもある。

 同署は「本人も周りの人もおかしいと感じたらすぐに警察に相談してほしい」と呼びかけている。

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