青森・県南出身の2人が南極越冬へ 日立・田端さん(南部町出身)、総務省・渡邊さん(十和田市出身)

第65次南極観測隊の越冬隊に参加する渡邊さん(左)と田端さん。かぶっているのは観測隊のキャップ=東京・立川の国立極地研究所

 11月に出発する第65次南極観測隊の越冬隊に、県南出身の2人が参加する。日立製作所の田端志野さん(30)=青森県南部町出身、茨城県在住=と、2度目の派遣となる総務省の渡邊創さん(41)=青森県十和田市出身、東京都在住=だ。専門知識を生かし、昭和基地の電気、通信という重要な任務を担う。2人は「他の隊員とのコミュニケーションを大切に、滞在や任務を楽しみたい」と意気込む。

 65次隊の越冬隊は計27人で構成。オーストラリアから観測船「しらせ」に乗り12月下旬に昭和基地に到着、2025年2月まで滞在する。現在、2人は東京都立川市の国立極地研究所を拠点に、機器や部品の調達、事前研修などで忙しく過ごしている。

 機械部門の田端さんは、主に発電機制御盤を担当する。「電気の障害は隊員の命に直結する。プレッシャーは大きいです」と率直に話す。

 名川中、八戸工業高卒。11年に日立製作所に入社し、電力系統に事故が起きた際に系統を守るためのシステム「保護リレーユニット」の品質保証に携わってきた。同社からは毎年、隊員が派遣され、先輩やOBから南極の話を聞く機会も多かったという。6年ほど参加を希望し続け、今年、ようやく念願がかなった。

 出発を前に、今はクレーン、フォークリフトといった重機の資格を取得中だ。「隊員はさまざまな分野のプロフェッショナルたち。一緒に南極に行くことは良い経験になる」と田端さん。基地では野菜の水耕栽培や隊員の髪を切る係も担当する予定で、「滞在を楽しんできたい」とほほ笑んだ。

 通信担当の渡邊さんは、小学校の途中で八戸市に引っ越し、根城中、八戸高、東北大を卒業し、北海道大大学院を修了した。11年に総務省に入省し、通信・無線関連の分野でキャリアを重ねてきた。

 57次隊の越冬隊(15年12月出発)にも参加した経験がある。「修学旅行を1年間やっているような感じで良い思い出が多かった」(渡邊さん)といい、今回も南極行きへ手を挙げた。野外活動中の隊員やしらせとの通信、無線機の保守・点検が主な業務。通信室にいる時間が長いが、交代する夜の時間にオーロラを見るのが楽しみという。

 基地では同じ顔触れで長期間過ごすため人間関係も大切な要素、と渡邊さん。「私は通信担当として第一報を受ける立場。隊員が『危ない』と感じたときなど、何か起きた際にすぐ話してもらうことが大事。みんなとコミュニケーションを取り関係性を築きたい」と語った。

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