ヤード5年許可制へ スクラップ規制で茨城県条例案

茨城県庁=水戸市笠原町

茨城県は8日、鉄くずなど再生可能資源を屋外で保管する「スクラップヤード」を規制する条例案の骨子を明らかにした。保管事業を5年更新の許可制とし、積み上げる高さを最大5メートルに制限。崩落や火災、土壌汚染を防ぐほか、騒音や振動など生活環境を保全し、茨城県内全域での適正化を目指す。

県議会定例会で、小松崎敏紀氏(いばらき自民)の一般質問に対し、林利家県民生活環境部長が答えた。

規制の対象となるのは、鉄くずや鋼材など金属スクラップのほか、プラスチック、ゴム、コンクリートなどを収集する面積100平方メートル以上のスクラップヤード。自動車リサイクル法に基づいた再生資源物を扱う施設は除く。

こうした金属スクラップなど再生資源物は廃棄物処理法の「廃棄物」と異なり「有価物」とされ、法令による規制や保管への基準がない。崩落の恐れなどに対しても、行政は任意による指導しかできないのが課題となっている。

骨子によると、再生資源物を屋外保管する施設の運営を5年更新の許可制とした。新設する場合は、事前に事業内容を周知するための住民説明会の開催を義務付ける。

屋外保管の基準も設定。周囲に囲いの設置を求めるほか、資源物を積み上げる高さを最大5メートルとした。施設内の保管面積は1カ所につき、200平方メートル以内に抑え、間隔を2メートル以上空ける。汚水の飛散や流出、地下への浸透を防ぐ措置も求める。

行政処分の項目についても明確化する。報告徴収や立ち入り調査、許可取り消しなどを可能とする。従わない場合は違反の公表、懲役、罰金などの罰則を適用できるよう定める方針。

県は30日まで、県ホームページ上で条例案の骨子に対するパブリックコメント(意見公募)を行っている。

県外では2021年に千葉市が条例を制定。千葉県も近く制定する予定。近隣で規制強化が進めば、「規制の緩い地域に悪質業者が移転してくる懸念がある」(林部長)ことから、茨城県全域での対策を急ぐ方針。

© 株式会社茨城新聞社