トヨタ、ライバルに首位を譲るも3台が好位置につける「拮抗した戦いは3日目も続くはず」/WRCギリシャ

 9月8日(金)、WRC世界ラリー選手権第10戦『アクロポリス・ラリー・ギリシャ』の競技2日目が、ギリシャのルートラキを起点に行われた。計4台のトヨタGRヤリス・ラリー1で今大会にエントリーしているTOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)は、総合2番手につけたセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組を先頭に、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組が続き、2-3-4番手の好位置を確保してデイ2を終えた。

 またTGR WRCチャレンジプログラムにより、このギリシャ・ラウンドに出場している勝田貴元/アーロン・ジョンストン組は総合6位につけている。

 シェイクダウン中止の予期せぬ事態のなか、7日(木)の夜に首都アテネで開催されたスーパーSSで戦いの幕が上がったアクロポリス・ラリー。伝統のイベントは競技2日目の朝からグラベル(未舗装路)ステージでの本格的な戦いがスタートし、この日はリゾート地のルートラキを起点に計5本のSS、都合86.52kmで争われた。

 なお、当初の予定ではデイ2は100kmを少し超えるステージ距離が設定されていたが、路面コンディションの悪化などを理由にSS2/4“ルートラキ”の全長が18.10kmから10.37kmに短縮されたため、全体の距離も短くなっている。

■降り続いた大雨により路面コンディションが悪化

 ギリシャや周辺国に大きな被害を及ぼした大雨が去ったルートラキ周辺では青空が広がったが、連日の雨は過酷な路面で知られ、かつては“カーブレイカー・ラリー”の異名をとった伝統の一戦のステージをより難しいものにした。雨で砂が流されたところでは大きな石が露出し、深い轍も刻まれることになったのだ。

 また、路面はぬかるんでいるところもあれば、乾き始めているところもあり、ドライバーたちは一日の中でさまざまな路面コンディションに対峙することに。これにより各車のタイヤ選択も難しくなり、通常はハードタイヤを用いる場面でもオプション扱いのソフトタイヤがマッチする路面も散見された。

 そんななかデイ1で総合6番手につけたオジエは、デイ2オープニングのSS2で2番手タイムを記録し総合3位に順位を上げると、SS4ではベストタイムを刻み総合2番手に浮上する。午後は選択したタイヤによってステージごとに優劣が変化するなか、SS6で2番手タイムを記録。直前のステージ終わりには7.4秒に拡がった首位ティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)とのギャップを2.8秒にまで縮めてデイ2を終えている。

カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2023年WRC第10戦アクロポリス・ラリー・ギリシャ

■乾いた路面で別れた明暗

「いくつか難しいセクションがあったが、幸運なことに太陽が出て路面がすぐに乾いてくれたので、それが自分たちにとっては助けになった」と語ったオジエ。

「優勝争いに加わり、望んでいたようにトップにかなり近づくことができて良かったよ」

 僚友のロバンペラは、初日のスーパーSSに続き今朝のSS3で今大会2度目のベストタイムを記録し総合2番手に浮上するも、こちらは路面が乾いてきた午後のステージではルーズグラベルによりタイムを失いトップ2に離されてしまう。それでも順位は3番手と表彰台圏内につけている。

 総合12番手で競技2日目に入ったエバンスは確実性の高い走りを続け、一日の最後には3番手タイムをマーク。総合4番手に順位を上げてデイ3を迎えることとなった。日本人ラリードライバーの勝田は午後のステージでペースを上げ、総合5番手のエサペッカ・ラッピ(ヒョンデi20 Nラリー1)と9.6秒差の総合6番手につけている。

「難しいコンディションのステージが続いたが、全体的にとてもうまくいった」と語るのは、全日本ラリー第7戦『ラリー北海道』に参戦中のヤリ-マティ・ラトバラ代表の留守を預かるカイ・リンドストロームだ。

「セブ(セバスチャン・オジエ)とティエリー(・ヌービル)によるトップ争いは拮抗していて、彼らがお互い少し違う戦略を取っていたことは興味深く、このような戦いは明日も続くと思う。また、彼らの後方では、我々のドライバーたちが接戦状態にあるので、デイ3は重要かつタフな一日になるだろう」

「明日のステージは、レッキ時はまともに走ることができないようなコンディションだったが、オーガナイザーが素晴らしいサポートをしてくれて、今日彼らがステージを走った時に撮影した映像を受け取ったので、今晩それをチェックすることで明日どのような路面を走行するのか予想し、理解を深めることができるはずだ」

 そんなデイ3はラミアのサービスパークを中心に、3本のステージをミッドデイサービスを挟んで各2回走行する。今大会最長28.49kmの“カロウテス”を含むSS7~12の合計距離は141.52kmに達し、4日間で最長の一日になる予定だ。

エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2023年WRC第10戦アクロポリス・ラリー・ギリシャ
勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2023年WRC第10戦アクロポリス・ラリー・ギリシャ

© 株式会社三栄