【花澤香菜のぱんレポ #1クロワッサン】ちょっとニッチな雑学「クロワッサンはフランスではパンじゃない!?」

パン好きとしても知られる声優の花澤香菜と一緒に、ちょっとニッチなパンの知識を勉強しましょう。

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パン界のおいしい貴族「クロワッサン」

フランス語で「三日月」の意味をもつクロワッサン は、パリッとした生地に、ふんわり香るバターの風味が特徴。のばしたパン生地にバターを均一にのせ て何回も折り込むことでできる、生地とバターの層を焼き上げることで、サクサクの食感が生まれます。

フランスでは主に朝食(軽食)として親しまれ、カフェオレに浸してふやかしながら食べるのが一般的ですが、 切り込みを入れてサンドイッチに使用したり、チーズやウインナー、チョコレートを巻いたものもあっ たりとバリエーションも豊富。

ドイツ語圏では“ギプフェル(頂上)”、イタリア語 圏では“コルネット(小さな角)”とも呼ばれています。

クロワッサンは、オーストリア発祥のキプフェルというハード系 ( ※1) のパンをもとに、20世紀初めにフランスで考案されました。

クロワッサンの原型(キプフェル)がフランスに伝わったのは、「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」(※2) でお馴染みのマリー・アントワネット が、ルイ16世の元に嫁いだことがきっかけ。

ウィーンの味が大 好きだった彼女がキプフェルを焼く職人をフランスまで連れて来たから、 といわれています。

(※1) ハード系:パンは使用する材料で2つのタイプに分類することが できる。粉・酵母・塩・水の基本材料のみを使用したパンはハード系(≒リーン系)といい、その基本材 料に加え、油脂や卵、乳製品、砂糖といった副材料 が配合されたパンをソフト系(≒リッチ系)という。 ソフト系のパンは基本的にハード系のパンよりふんわりと柔らかく甘いことが多く、贅沢な味わいになる。

(※2)「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」:ジャン=ジャック・ルソーの著書『告白』の中で身分の高い女性の言葉として紹介され、広く世に知られているセリフ。ただその女性、実はマリー・アン トワネットではないことが判明している。

「クロワッサン」知っ得雑学!

フランスでは、クロワッサンはパンじゃないってホント!?

日本では代表的なパンのひとつと考えられているクロワッサンですが、本場フランスではヴィエノワズ リー(Viennoiserie)といわれ、パンとはしっかり区別されているのだとか。

ヴィエノワズリーとは、フランス語で「ウィーンの」という意味をもち、日本でいう菓子パンのようなもの。

フランスでは、食事といっしょに食べるパンとおやつや軽食として楽しむヴィエノワズリーでは扱うお店が違ったり、棚も分かれているといいます。

菱形と三日月形、カタチの違いには意味があった?

クロワッサンには、菱形と三日月形があることを知っていますか?

このカタチの違いは、使用している油脂の違いによるもの。バターであれば菱形に、 マーガリンであれば三日月形と、フランスでは決められていたのだとか。

現在では厳密に決まっているわけではありませんが、クロワッサンが届いたら、 カタチの違いにもぜひ注目してみてくださいね。

(つづく)

参考文献:ぱんとたまねぎ,荻山和也(監修)『パンにまつわることばをイラストと豆知識でおいしく読み解く パン語辞典』誠文堂新光社,2010東京製菓学校(監修)『いちばんくわしいパン事典』.世界文化社,2015

(うまいパン)

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