法隆寺の駐車場に6世紀古墳 死者に遠慮?徹底破壊せず

法隆寺の参道脇駐車場に残る小さな高まり=2022年3月、奈良県斑鳩町(同町教育委員会提供)

 世界遺産・法隆寺(奈良県斑鳩町)の参道脇駐車場に残る小さな高まりが、横穴式石室を持つ6世紀後半の古墳と分かり、町教育委員会と奈良大が9日までに発表した。法隆寺南大門までは約300メートルと近い。木棺と思われる「クスノキの舟」が出土したとの言い伝えがあり、舟塚古墳と呼ばれていたが、単なる植え込みにしか見えず、古墳かどうかは分からなかった。

 出土品などから被葬者は地元の首長クラス2人と考えられ、1人は550~60年ごろ、もう1人は580~90年ごろに埋葬されたらしい。石室からは飛鳥時代の瓦も出土。天井石は抜き取られていて、607年とされる法隆寺建立などに利用するため、2人目の埋葬からわずか数十年後に持ち去られた可能性も考えられるという。

 調査した奈良大の豊島直博教授(考古学)は「天井石を取るのが目的だったようで副葬品の盗掘はしていない。埋葬から年代があまり経過しておらず、誰の墓か分かっていたので『徹底的に壊すとまずい』と思ったのかもしれない」と話した。

法隆寺の駐車場に残る小さな高まりで確認された横穴式石室=8日、奈良県斑鳩町

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